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2019年11月24日 (日)

曾田本その2を読み解く50神道無念流居合幾つか50の7本目

曾田本その2を読み解く
50神道無念流居合幾つか
50の7本目

太田龍峰著中山博道校閲「居合読本」より神道無念流(立居合12本)第7本:
意義
前方右方の敵に対する動作(第6本に同じ)。
 意義
 「前方右方の敵に対するも右方の敵、最初我に近寄りすぎた為めに進出して切る事能はず、従って其場に於いて切り、次いで敵後ろに倒るゝを以って其儘進んで残心を示す」。
動作
第6本と全く同じであるが、但し右方にするだけ異ふ。
 第1、右足より前進し二歩目(左足の地についた時)右手の拇指を下方より其他の指を上方より鍔元近く刀柄を握り右足(三歩目)を出すと同時に右手を以って刀を抜き(此時左手で鞘を前方に出す気持ちを加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り概ね左足尖を右踵に接する如くあらしむ)敵の右前肘を下方より切り上ぐ」。
 第2、左足を軸として右足を左足の後方にひき右向きをなし右正面を切る
 第3、左足を右足の所にひき刀を頭上に振り上げ左足を出して切る。
 第4、右足より二歩前進する(此際刀は青眼とする)。
 第5、刀を上段にして残心を示し。
 第6、青眼に復し刀を収む。

曾田本その2神道無念流(立居合12本)7本目
意義
前方の右方の敵に対する動作(6本目に同じ)
 意義「前方右方の敵に対するも右方の敵、最初我に近寄り過ぎた為めに進出して切ること能はず、従て其場に於て切り、次で敵後ろに倒るゝを以って其儘進んで残心を示す。
動作
6本目と替ることなし、左方と右方との異なるのみ。
 第1、1本目第1動「右足より前進し二歩目左足にて柄を握り三歩目右足を出すと同時に抜刀(此時左手で鞘を前方に出す気持を加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り左足先を右踵に接する如くする)敵の右前肘を下より切り上げぐ」。
 第2、「左足を軸とし右向となして右正面を切る」。
 第3、次に左足を右足に揃へ上段となり左足にて切る。
 第4、次に中段の侭右足より二歩進み。
 第5、上段残心を示し
 第6、青眼に直り納刀

 7本目の意義は前および右敵に対するものですが、6本目と同じであれば「右方の敵、最初我に近寄り過ぎた為めに進出して切ること能はず」であるはずです。
 まず第1動、居合読本の前敵の切り上げは柄握りを解説していますが曾田本その2には柄握りは解説なしです。切上げの柄握りは順手で良いので解説不要でしょう。
 第2動の右敵への斬り付けで居合読本は左足を軸に右足を後方に引いて右敵を切っていますが、曾田本その2では右向きと成ったらそのまま切っている様な文章です。これでは右敵が近寄り過ぎて居る事に応ずる刀法とは言えません。敢えて肩を持てば、右足を踏み込み前敵を下から切り上げ右足に左足を引き付けて左足を軸に右に向きますから、右敵の間が近ければその足の侭か、右足若しくは左足を引いて調整するのは当然としたのでしょう。であればその様に書いておくべきです。
 第3、で「左足を右足に揃へ上段となり左足にて切る」と曾田本にあります。第2動を左足前で切っているのか、右足前で切ったのかで、斬る際の足踏みが、左足前で切って居れば左足を右足に引き付けて左足を踏み込み切る。右足前で切って居れば左足を前足の右足に引き付け左足を更に踏み込み切る。間の取り方に違いが出るもので修行が進んで間と間合いが十分把握できるようになってから行うべきで初めは居合読本の様にすべきでしょう。
 以下は取り立てて見るものはありません。無双直伝英信流には無い攻めと残心そして納刀の神道無念流らしい仕草と言えるでしょう。

木村高士著「長州藩相伝神道無念流」より大村藩無念流立居合業手付7本目
 三歩進んで抜刀、右足を軸に左足を右足の後に引き右に向き、真向より右敵の正面に打込む。更に右足を左足に引きつけ正面に打込む。左、右と霞に二歩攻め入り上段残心を示す。晴眼となって血振い、納刀は前に同じ。

 大村藩の7本目で足の引き様が居合読本や曾田本と違う、それは前敵への切上げの際の足s履きに由来します。「右足より三歩進み、右足が床につくと同時に、敵の右前肘を下方より刀に反りをうたせながら抜き付け切上げる。右足を左足に引き揃えて・・」とありますから、踏み出した右足を後足の左足に引付て右足を軸に右に回り左足を引いて打込むのです。
 居合読本も曾田本も右足を踏み込んで前敵に下から切上げ、左足を右足に引き付ける動作と異なるわけです。大村藩では更に右足を左足に引付て切っていますから、これは、右足を再び踏み込んで切るかどうか手付は語らずです、更に退いたまま切るかで右敵が切られても攻めて来る想定になるのです。
 それから右左と前進して右霞で攻め上段残心、晴眼となって横血振り納刀。居合の敵は仮想敵です、相手の出方に依り如何様にも業が変化して当然です。師匠の癖や武術の力量、哲学によって元の業は限りなく動くものです。時々気の付いた者が元へ戻すことに心血を注がなければ武術が踊りになってしまうのです。

木村高士著「長州藩相伝神道無念流」より戸賀崎無念流立居合業手付 7本目
抜付は前に同じ。右足を軸にして左回りに左足を右足の後に引き、右から上段に冠り左手を柄にかけ諸手で「当」と左敵の正面真甲を打つ。更に、右、左と後退し「当」と腰撓(こしだめ)に打込む。以下。6本目に同じ。

抜付けは「三歩進んで間に入るや「矢」と、右手を水平にして前敵に抜付ける。抜付けたとき、刀は水平にして切先は眼の高さ、刀刃は斜め左に向く。左手は鞘を放して、後方水平になるまで腕と指も伸ばす」所謂横一線の抜き付けです。切先は眼の高さですから稍々斜め上に向いている。「後方水平になるまで・・」は説明がありませんが鞘が水平なのかなと思います。
 「右足を軸にして左回りに」ですからこれは他流の6本目に相当します。前敵を水平に抜き付け、左敵に振り向いて左足を右足の後方に引いて、左敵の正面真甲を打つ、敵怯まずに攻めて来るので、右足、左足と後退し「こしだめ」に打込む。とはどうしたら要求を充たせるか不明です。退きながらの攻防は腰が引けない様にぐっと丹田に気を充実させて打込むのでしょう。

 

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