« 曾田本その2を読み解く47スクラップ日本刀の反り | トップページ | 曾田本その2を読み解く48刀剣各部の名称 »

2019年11月 7日 (木)

曾田本その2を読み解く48スクラップ中山範士との一問一答

曾田本その2を読み解く
48、スクラップ
中山範士との一問一答
台湾 藤田傊治郎(ふじたいんじろう)

 昭和11年8月5日中山博道範士が明治大学の学生を引率して台湾に来られた際に剣道に関する平日の疑問をお尋ねした所明解に教へられたから同志の方々にお伝へしたいと思ふ。但本稿は範士の校閲を得たものでないから文責は全く筆者に在り。
1、右拳を鍔より甚しく離して可なりや。
 答、真刀ならば鍔より5分丈離して持たざれば拳の自由を得難し。故に竹刀もその位は離して可なり。それ以上甚だしく離して持つは不可なり。
2、胴を打つ時左拳を右拳に著くまで絞りて可なりや。
 答、真刀は柄の長さが適当なるにより絞る要なし。竹刀は少し長きに依り真刀の柄の長さ位まで絞るは可なり即ち凡そ一握の間隔まで絞るは差支へなし。場合に依りては少し絞らざれば刀が反らざることあり。真刀ならば常に適当に反る長さなり。
3、相手の竹刀を自分の肩にて支ふる者あり如何。
 答、大に不可なり。真刀ならば出来ぬことなり。
4、相手の竹刀を打つは如何。
 答、不可なり。真刀ならば濫に打たば自分の刀が折れることなり。
5、間合と間との別如何。
 答、間合は相手と自分との間の隔りなり。間とは自分の防禦攻撃力の及ぶ範囲のことなり。故に自分の間をば決して相手に侵さしむべからず。敵の間をば侵すを要す。
6、心の間合とは如何。
 離れたる時は近く思ひ、近く寄りたる時は遠く思ひて常に心にて間合を調節することなり近くなりたりと思へば気あせりて失敗す。又遠くなりたる時遠くなりたりと思へば打ち得ず。
7、我より近く敵より遠き間合とは如何。
 答、例へば敵が小手を打ち来たりし時敵の剣先を自分の右へ外し己は敵の小手を打つが如し即ち敵の剣先は自分より離れ居るに依り遠し。反対に自分の剣は敵に近し。
8、審判の稽古も為る要ありと思ふが如何。
 答、大に然り。審判の決定は明瞭に「何あり」と宣告し一面記録係に知らせ他面観衆にも知らすを要す。
9、審判者が決定の理由を述ぶるの要なしと思ふが如何。
 答、大に然り。「何あり」と一言すれば可なり。又「不十分」なりといふが如きことも不要なり。只黙して居れば可なり。

 面白い質問とその回答です。1、から4などは真剣ならばやらない動作を竹刀では、やってしまう事を戒めているのでしょう。剣道は真剣を以ての勝負という事を強く意識している様です。当然のことですが、竹刀や木刀では何の躊躇もなくやってしまうのでしょう。特に4、などは何処までなのか解答は疑問ですが、相手の刀が邪魔で払う、或いは打込まれて請け太刀となるなど、古流の形稽古でも見受けるものですが、奥義は「往なす」と同時に「斬る」でしょう。無雙直傳英信流の大江居合の7本の形は受太刀の連続を平気でやってます。真剣による居合の稽古の一環として間と間合いや気の稽古程度で考えていること自体疑問です。
 5,6,7、は形稽古の中でしっかり身に着けるべきもので、早い強いの棒振りの結果の勝では「当てっこ」と言われても仕方がないことです。
 8,9、は大いに然りでしょう。

 

|

« 曾田本その2を読み解く47スクラップ日本刀の反り | トップページ | 曾田本その2を読み解く48刀剣各部の名称 »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曾田本その2を読み解く47スクラップ日本刀の反り | トップページ | 曾田本その2を読み解く48刀剣各部の名称 »