« 曾田本その1付録抜刀術(曽田虎彦私剣 研究中)その4四方 | トップページ | 曾田本その2を読み解く50神道無念流立居合幾つか50の前書 »

2019年11月15日 (金)

曾田本その1付録抜刀術(曽田虎彦私剣 研究中)その5弛之刀

曾田本その1付録抜刀術
(曽田虎彦私剣 研究中)
その5、弛之刀

原文
是も歩ミ行内切り懸り来るを春つかりとはずして抜き次に右足を一歩踏ミ込ミて斬り下し右足を引きて高山二構へ左足を引きつゝソロリと下し納刀前同し

読み
是も歩行うち、斬り懸り来るをすっかりと外して(弛して)抜き、次に右足を一歩踏み込みて斬り下し、右足を引きて高山に構へ左足を退きつつそろりと下し納刀前に同じ。

 この手附も抜けだらけですが、古伝の気分で稽古して見れば、歩行内前方から敵が上段に振り冠って、斬り懸って来る、我は左足を踏み出し鯉口を切り右足を踏み出して柄に手を掛け左足を踏み込み刀を一尺程抜き出し、右足を少し摺り出し敵の斬りこみを誘う、敵上段から斬りこんで来るを、右足を引いて間を外しながら、刀を体に引き付け刃を左外に向け左肩を覆う様に右手は正中線上を抜上げ、敵の刀を外すや上段に振り冠って右足を踏み込むや敵の真向に切り下す。
 右足を引いて左上段に構え残心、左足を退きつつ刀を青眼に下し、血振り納刀前に同じ。
 現代居合の大森流(正座の部)附込の立居合の動作が良さそうです、但し敵は真向から切り下す刀が空を切る事も予測し我が水月迄の斬り下しならば、正面への踏み込みは危険です。右足を稍々右に踏み込み右に体を開きながら敵の左面に斜めに切り下ろすべきでしょう。或は左に体を開きながら、敵の右面に斬り下すのです。仮想敵相手の一人演武では自分に都合の良い想定で得々としていますが、敵も外されたとしても無疵なのです。
 切ってくれとばかりに切先を膝下まで切り下げ体を俯けるなど、居合の稽古でもやったことが無いことをすべきでは無いでしょう。
 
 この業は全剣連の制定居合12本目「抜打ち」が、歩行中か相対して居るかの違いはあっても要義は同じです:相対して直立している前方の敵が、突然、切りかかってくるのを、刀を抜き上げながら退いて敵の刀に空を切らせ、さらに真っ向から切り下して勝つ。
動作:直立したまますばやく刀に両手をかけ、左足を後方に引き、右足を左足近くに引きよせながら刀をすばやく頭上に抜き上げると同時に左手を柄にかけ、間をおくことなく右足を踏み込むと同時に真っ向から切り下す。
 
 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事には「抜打」と「弛抜」が有ります。
抜打:歩み行中に抜打に切る敵を先に打心也。
弛抜:前の如く歩み行敵より先に打を体を少し開き弛して抜打に切る也。
 この「弛抜」は歩み行時前方の敵が上段から真向に斬り懸って来るのを、足を引いて外すのではなく、右か左へ少し踏み込んで体を躱しながら上段に抜き上げ片手真向でも両手真向でも良さそうです。より良いのは後足を前足の後に摺り込み、右に踏み込めば敵の左面、左ならば敵の右面でしょう。

 以上5本の立居合を曽田先生は曾田本その1の末尾に残されています。元々曾田本は曽田先生の土佐の居合の覚書ですから、古伝の業を復元研究しながら、考えていたのかも知れません。抜けだらけの手附でしたから読み込んで様々な技法が思い浮かんでも当然です。その業を稽古しながらより良い技を産み出せれば曽田先生もホッと肩の荷を下ろされる事も有ろうかと思います。

 以上で曾田本その1、その2の全てを終ります。

 

|

« 曾田本その1付録抜刀術(曽田虎彦私剣 研究中)その4四方 | トップページ | 曾田本その2を読み解く50神道無念流立居合幾つか50の前書 »

曾田本その1付録曽田虎彦研究中抜刀術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曾田本その1付録抜刀術(曽田虎彦私剣 研究中)その4四方 | トップページ | 曾田本その2を読み解く50神道無念流立居合幾つか50の前書 »