曾田本その2を読み解く46行宗先生より中村虎猪氏に授与したる中傳書写46の7長谷川流居合術波返
曾田本その2を読み解く
46、行宗先生より中村虎猪に授与したる中傳書写
46の7長谷川流居合術
1、波返 右同前
鱗返:敵は真向いて抜かんとかまえる力声にてもかくれがたくさままはって抜付て勝つ
*
神傳流秘書:鱗返に同じ後へ抜付打込み開き納る後へ廻ると脇へ廻ると計相違也
大江居合:(浪返し)後へ向き左より正面へ両足先にて廻り、中腰となる、左足を引き、水平に抜付け上段に取り、座しながら前面を斬る也。血拭ひ刀納めは前と同じ。
細川居合:(後に立って居る者を斬る)正面より(左へ廻り)後むきい合い膝に座し、例により左手にて鯉口を切り、右手を柄に掛け抜きつつ腰を伸し左へくるりと廻り、正面へ向くなり立上り左足を一歩後へ退くと同時に(対手の右側面へ)抜付け(対手倒れる)、左足を右足横へ跪きつつ刀尖を左後ろへ突込み 諸手上段に引冠り右足踏込んで斬込み刀を開き納め終る。
*
波返(浪返し)は、敵は我が後ろに座し刀を抜いて切り付けんとする気配を感じ、機先を制して、刀に手を掛け左廻りに振り返って敵に向くや左足を後方に退いて、抜き付け振り冠って真向に斬り下す。
敵の何処に抜き付けるのかは、吉宗居合も、神傳流秘書も指定していません。まして敵の動作を想定するのも「ご勝手に想像して下さい」とばかりに何も言って居ません。吉宗居合では後ろに廻って抜き付けて勝つ、なので真向からの斬り下しもあるやなしやです。
大江居合も「座しながら前面を斬る也」と言い切っています」中腰となって左足を引けば低い水平の抜き付けでしょう。抜付けは土佐の居合は指定されなければ横一線の抜き付けです。相手の動きによってはこの抜付けでは何処に斬り付けることになるのか其処はおおらかなものです。
細川居合では(後に立って居る者を斬る)ですから「正面向へ向くなり立上り左足を一歩退くと同時に相手の右側面へ抜き付ける」立って居る者の右側面は大雑把な目標ですが、相手の背丈や立ち方に依るゆうこうな右側面は瞬時に「自分で判断しろ」という事になります。
此処まで稽古を続けて来た者にはこの動作だけならば大して難しくないと思いますが、実戦であれば上手に形を演じるばかりでは両断されてしまいます。
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