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2019年11月19日 (火)

曾田本その2を読み解く50神道無念流居合幾つか50の2本目

曾田本その2を読み解く
50、神道無念流居合幾つか
50の2本目

太田龍峰著中山博道校閲「居合読本」神道無念流(立居合12本)第2本:
意義
概ね第1本に同じであるが敵我正面を切り来るを以って払ひ流し体を左前方に転じて敵の右肩より切り下ぐ。
動作
第1、第1本目の第2動に同じ。
第2、右足より二歩後退し敵の正面を切る(第1本、第2動より一歩多く後退するのみで動作全く同じ
第3、左足より二歩前進して敵の正面を切る(同右
第4、両手で刀刃を上方にし刀刃を以て敵の刀を払ひ流し(此際刀尖は其位置を変ずることなく左拳を刀尖より稍々上ぐ)同時に左手を中心にして刀を右肩の方面に轉回しつゝ左足を左前方に踏み開き右足を左足の後方にひき敵の右肩より左斜下方に切り下ぐ
第5、刀を収む。

曾田本その2神道無念流(立居合12本)2本目:
意義
敵我が正面を切リ来るを以て払ひ流し体を左前方に替し敵の右肩より切り下ぐ。
動作
第1、1本目の第2動に同じ。
第2、上段より右、左と二歩退き敵の正面を切る。
第3、左足より二歩前進し敵の正面を切る。
第4、両手で刀刃を上にし刀刃を以て敵の刀を払流し(此時刀尖は其位置にて左拳を刀尖より稍々上ぐ)同時に左手を中心に右肩より冠りつゝ左足を左前に踏み右足を左足の後に引き右肩より八相に切下ぐ
第5、次に納刀

文言の部分的に異なる処はあっても同じことをしています。第一動で「1本目第2動に同じ」と、居合読本にあるのですが曾田本も同様です、1本目第2動は居合読本では「右手で刀を左肩の方向に大円を描き右拳を頭上にして振り上ぐると同時に左手で柄頭を握り右足を一歩後退して敵の正面を切る」、曾田本では「次に右手を左肩より振り冠り左手を添へ右足を一歩引き敵の正面を切る」と文言の違いはあっても同じ動作です。曾田本では「次に・・」ですから此処は「1本目の第1動に同じ」であるべきでしょう。誤植と判断されます。
 1本目第1「右足より前進し二歩目(左足の地についた時)右手の拇指を下方より其他の指を上方より鍔元近く刀柄を握り右足(三歩目)を出すと同時に右手を以て刀を抜き(此時左手で鞘を前方に出す気持ちを加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り概ね左足尖を右踵に接する如くあらしむ)敵の右前肘を下方より切り上ぐ」というもので、神道無念流立居合の特色の一つです。
 敵に攻め込まれに下から切り上げ、更に敵が攻めて来るのを右左と二歩退き正面を切り、敵怯む処を左右と前進して正面を切る。其の侭の足踏みで第4動となる。第4動も神道無念流の右霞です。「右霞とは右相前に刀柄を握った右手の甲を下に左手の甲を上にして刀刃を左にし、切先を前敵に向ける」敵が打ち込んで来るのを払い流しながら上段に冠り、左足を左前に踏み込み右足をその後方に摺り込んで逆八相に切り下げる。

大村藩無念流立居合業手付2本目 前敵:
 直立の姿勢から三歩進んで、左足を僅かに引き上段に冠る。(ー一本目の様に抜き付ける)右、左と二歩後退して真向に打込む。更に、二足一刀をもって攻め込み、再び上段から真向に打込む。なお、霞に攻める気勢を示すが(ー霞に一歩攻める)敵が正面に打ち込んで来るので、左足を左斜前に出し、敵刀を右に請け流しながら切り返し、刀を大きく左上方に転回させ右足を左足後方に引き、敵の右肩へ袈裟掛に打込む。小さく刀を横に振って血振いをしていたが、今は省略されている。納刀は前に同じ。

 この書き出しでは、「直立の姿勢から三歩進んで、左足を僅かに引き上段に冠る」という事は居合抜などしないで、右足・左足・右足と踏込み、左足を僅かに引いて、刀を上に抜き上げ、上段に冠り、右足・左足と下がって敵の真向に打込むことになってしまいます。
 長州藩相伝の神道無念流立居合2本目も、下から敵の右前肘に切り上げて居ます。居合読本と曾田本の書き出しと似た雰囲気ですが、正解は判りません。長州藩相伝を先に稽古していますから、大村藩の上段に抜いてから切り下す事に違和感を持ちます。居合らしく抜き上げて打ち下す雰囲気が伝わってこないのも表現力に由来するかもしれません。
 左右と踏み込んで、真向に打込み、其の侭右霞に構え敵の真向打ち込みを請け流し、同時に左足を左前に踏み込み、右足を左足後方に摺り込み、左上方から敵の右肩に切り下す。昔は横血振り、納刀。今は其の儘残心して納刀。

戸賀崎無念流立居合業手付2本目:
 抜付は一本目と同じ。
 右足を引き、刀は左から冠り真甲に「当」と打つ。右足を踏み出して上段から正面に「鋭」と打つ。素早く右足を進め
て右霞に「矢」と攻め込む。
 直ちに、左足を左斜に踏み出し、右足を左足の後に引いて、刀刃左頭上に大きく転回させ敵の右横面、眼の高さに「当」と打込む。
 1本目の如く正眼に攻め、更に、小さく右足より攻め入る。納刀は前に同じ。

 文章に抜けが有る様ですが、「抜付けは1本目と同じ」ですから、歩行中下から敵の右前肘に「矢」と切り上げ、右足を引いて下がりながら、左肩から刀を冠り敵の真甲に「当」と打込む。右足を踏み出しながら上段に振り冠り正面に「鋭」と打つ。右霞に構え「矢」と攻め込む、敵真向に打込んで来るのを受け流し、直ちに左足を左斜に踏み出し、右足を左足の後に引いて、刀を左頭上取り敵の右顔面に「当」打込む。
 足捌きがコンパクトの様ですがこれも有りでしょう。

 宝暦年中(1751年~1764年)に福井兵右衛門嘉平が立居合12剣の太刀組を編み出し神道無念流を名乗ったとされています。その頃から明治維新1868年と言えば約100年間で立居合12剣は流派によってそれぞれの解釈で変化していったものでしょう。どの流派にもあり得るものでどれが正しいとは言えないものです。基準の形動作を1つ持ち幾つもの変化に応じられる修業が求められるものでしょう。「違う」と言って飛んで来るお人よしも居てもいい。

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