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2019年11月21日 (木)

曾田本その2を読み解く50神道無念流居合幾つか50の4本目

曾田本その2を読み解く
50、神道無念流居合幾つか
50の4本目

太田龍峰著中山博道校閲「居合読本」より神道無念流(立居合12本)第4本目:
意義
前進中後方の敵に鐺を持たれ尚ほ続いて前方よりも敵に襲はれ即ち前後にある敵に対する動作である。
動作
第1、右足より前進中左足のつくと同時に若干上体を前に懸け右手で刀柄を下より握り(此の握り方は拇指は上方に其他の指は下方にする)腰を左方に廻し刀を抜く。
第2、上体を其儘とし左上膊の左側に刀刃を左斜上方にして後方の敵を刺す(此時著眼は後方の敵とす)。
第3、刀柄に左手を添へ刀刃上方に刀尖を前方に向く如くし、若干前方に進み前方の敵を刺す(此際左足は右足につくやうに送る)。
第4、右足を後ろにひくと同時に刀を右脇に刀身を概ね水平なる如く持ち来り、後方の敵を刺す(此時著眼は後方の敵とす)。
第5、刀柄を持ち替へ右足を一歩出して正面を切る。
第6、左足を軸として廻れ左をなし右足より一歩進み後方の敵の正面を切る。
第7、刀を収む。

曾田本その2神道無念流(立居合12本)4本目:
意義
前進中敵後方より来り鐺を取られ続いて前方よりも敵切り掛け来るのに対する動作なり。
動作
第1、右足より前進中左足にて上体を前に懸け右手にて刀柄を下より握り(此の握り方は拇指は上方に其他の指は下方にす)腰を左方に廻し刀を抜く。
第2、上体を其侭とし左上膊の左側に刀刃を左斜上方にして後方の敵を刺す。
第3、柄に左手を添え刀刃上方に刀尖を前方に向け踏み出して前方の敵を刺す左足を送る也。
第4、右足を引くと同時に刀を右脇に刀身を水平にして後方の敵を刺す。
第5、柄を持ち替へ(右足を一歩出して正面を切る)
第6、左足を軸とし左に廻り右足より一歩進み後方の敵の正面を切り納刀。

この4本目の業は「後方の敵に鐺を持たれ」と意義に在るのですが、鐺を取られたための動作が明記されていないと思えるのですが、第1動・第2動で充分その効果は発揮されると云うのでしょう。
 次に意義では、敵は前と後「前後にある敵に対する動作」と言って居ます。それではこの動作は何を意味するのでしょう。
 敵に対する動作は
1後方の敵に左側から刃を左上に向け刺突(第1・第2)、2前方の敵に刃を上にして刺突(第3)、3後方の敵を右脇から刀身を水平にして刺突(第4)、4前敵を正面より切る(第5)、5後方の敵を振り向いて正面より切る。
 前と後の敵ならば、後の敵は左からと右から2度刺突され正面より切られています。前の敵は刺突され正面より切られています。稽古業ですから良しとしても聊か違和感を感じます。

木村高士著「長州藩相伝神道無念流」より大村藩無念流立居合業手付 4本目 後、前敵:
 三歩進んで後敵に目を注ぎ、右片手で刀を低く抜き、刃を上にして左上膊部に支え後敵を突刺す。僅かに右、左足を前に進めながら左手を柄頭にかけ、刀先が下方より体の前に来るように操作し、右手を逆手に持ちかえ、刀身を右脇下に抱くようにして刀先を後敵に向け、右足を一歩後に引き後敵を突く。(ー後敵を突く前に、その場で前敵を突く(長州藩相伝))。左右の手を本手に持ち直し刀を上段に冠り、右足を踏み出して前敵の真向に打込む。更に、左回りに右足を出して後敵の正面に打込む。血振い、納刀は前の通り。

 前後に敵に遭遇して、後敵を順手(本手)で左から刺突し、逆手に持ち変えて右から更に刺突しています。逆手を本手に持ち変えて前敵を真向から斬って、左廻りに振り向いて後敵の正面に打ち込んでいるのです。前敵は刺突されずに真向を切られます。

戸賀崎無念流立居合業手付 4本目:
 歩行中、右足が前に出たとき、逆手で柄を握って鯉口を切り、立止まって左後の敵を見る。右膝を曲げて体重を右足にかけ、上体を前に傾け左半身となり抜刀する。刀の棟を胸に添え、切先は肩の高さに保ち、足はそのままで「矢」と下から後敵の咽を突く。
 刀先を下にして、左斜前下から右下にと刀身を回し、刃を下にして右脇下に抱え、右手の甲を上にして柄を握る。右後敵の脇腹を下から「矢」と突く。
 直ちに、前方に向いている足はそのままで、体を右斜前の敵へ向けつつ右手を持ち替えて上段に冠り、右足を踏み出し「当」と真甲を打つ。
 更に、左回りに刀を右斜上に冠って右足を踏み出し、後敵の左横面に「矢」と打込む。正眼に攻め、納刀。

 此の場合も、後敵は左脇から咽を刺突され、更に右脇から右後敵の脇腹を刺突される。「右後敵」と後敵を区別していますから後敵は左側と右側に二人いる想定の様です。前敵は「右斜前の敵」と位置指定しています。逆手を持ち変えて真甲に打ち込まれます。
 更に振り向いて、八相から後敵の左横面を切られます。仮想敵の存在をどの様に配置して運剣するか、という命題がやや状況次第の様でおおらかですから業手付に依って固定されず、おおらかと言えるでしょう。細かい敵の位置と動作の口伝口授が有るのかも知れません。

 

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