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2019年12月 6日 (金)

道歌1秘歌之大事(林崎新夢想流 新庄藩)1の7つよみにて

道歌
1、秘歌之大事(林崎新夢想流  新庄藩元禄14年1701年)
1の7つよみにて

徒よみ尓て行あ多るをは下手と云
      鞠と柳を上手とそ以婦
読み
強みにて行き当たるをば下手と云う
        鞠と柳を上手とぞ云う
(つよみにてゆきあたるおばへたという
        まりとやなぎをじょうずとぞいう)

 この歌の解釈は、剣術は、力いっぱいに強く打込んだり受けたりするのを下手と云う、蹴鞠が柳に当たっても何の抵抗も無く柔らかく受けいれて何事も無くあるのを上手というのである。と歌っています。
 蹴られた鞠も同様に何事も無く跳ね飛んで元の姿です。此の歌の「強みにて行き当たるおば下手と云う」がポイントです。
 秘歌之大事の2首目に「早くなく遅くはあらじ重くなく軽き事おば悪しきとぞ云う」がありました。今度は打つも受けるも柳に鞠を連想しろと言って居ます。
 妻木正麟著詳解田宮流居合には田宮流居合歌の伝に「つよみにて行きあたるこそ下手なれやまりに柳を上手とぞいふ」

 曾田本その1の古伝神傳流秘書のはじめは「抜刀心持引歌」から始まります。振り返ってみます。
 心水鳥
 帆を掛けて急ぐ小舟に乗らずとも行く水鳥の心知るべし
 水鳥の水に住めども羽は濡れず海の魚とて汐はゆくなし
 白鷺心
 思ふれど色に出にけり我が恋は物や思ふと人のとふまで
 数ならで心と身をば委せねど身に従ふは心なりけり
 居合太刀打共水月之大事
 水や空空や水とも見へわかず通ひて住める秋の夜の月
 おしなべて物を思はぬ人にさへ心をつくる秋のはつ風
 秋来ぬと目にはさやかに見へねども風の音にぞ驚かれぬる
 右の心にて悟るべし我は知らね共敵の勝を知らする也 其處水月白鷺共習いあるべし又工夫すべし。

 敵に従って勝つべき心持
 風吹けば柳の糸のかたよりになびくに付て廻る春かな
 強みにて行き当たるをば下手と知れまりに柳を上手とぞいふ 
 
 新庄藩の秘歌之大事の7首目の歌は「敵に従って勝つべき心持」が出来ているかが大切であると教えています。さらに続きます。

 敵と出合ふ時かならず討勝と思ふべからず、況や恐るゝことなし、間に豪末を加えず雷電石火の如くちらりと我が心にうつる時無二無三に打込事居合之極意也。然れ共只打込むではなし、是に柄口六寸の習いなり、此の習を以て敵の場へ踏込み打也。偏に大海を渡るに陸にて行けば命を失ふ故に舟に乗りて行也。居合柄口六寸之大事偏に彼の舟の心持としるべし、然れども舟にてかならず渡海すと思ふべからず。歌に
 乗り得ても心ゆるすな海士小舟浪間の風の吹かぬひぞなき
 右浪間の風能く合点しては舟ものらず 古歌に
 有となしと堺を渡る海士小舟釘も楔も抜け果てにけり
 此の心にてよく工夫有べし 口伝

 単刀直入に敵の思いに従って、ちらり心にうつる時、柄口六寸に無二無三に打込むのが居合の極意と云うのでしょう。柄口六寸の極意は敵の拳への抜き付けとされますが、すでに失伝し現代居合ではその心持ちすら失念しています。海士小舟の心持ちをどの様に解けるか、譬え解き得てもそれは己の心の中に持つ以外に無さそうです。免許皆伝を授与されたそののちに課せられた命題ですが「口伝」としてあっても消えてしまっています。
 
 

  

 

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