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2020年1月23日 (木)

道歌2古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌2の26鞠を蹴る6兎に角に

道歌
2、古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌
2の26鞠を蹴る
6兎に角に

敵色々と有りて我を騙すとも油断する事勿れ、例えば鞠を蹴るに同じ我が鞠と人の鞠との色をよく見る事也。

兎二角二言ふへき様ハなかりけり
       九重の堂の上のあし志ろ
読み
「兎に角に言うべき様はなかりけり九重の堂の上のあししろ」兎に角言うべきさま(よう)ではない、九重の堂(塔)の上の足代。
 あれやこれやと言うものでは無いでしょう、九重の塔の上に掛かっている工事用の足場ですよ。直訳しましたが、足場は建築が終われば最終的には取り払われるものです。九重の塔の良し悪しをあれこれ言うものではないのです。
 相手は足場を掛ける様にして攻め口を見せて来り、隙を見せてきたりするのですが、本当にやろうとすることは、その奥にある相手の本心でしょう、それを騙されずに読み取るものですよ。

 この歌心を、大江居合の正座之部一本目前で演じるにはどのように、一本目の前を想定するでしょう。
 古伝神傳流秘書の大森流居合之事の一本目初発刀:
「右足を踏み出し向へ抜付け打込み扨血震し立時足を前に踏み揃え右足を引て納る也」

 谷村亀之丞自雄による英信流目録の大森流居合之位一本目初発刀:
「平常の如く坐し居る也右の足を一足ふみ出し抜付打込亦左の足を出し右に揃え血ぶるいをして納むる也血ぶるいの時立也右足を引納る也」

 剣道手ほどきより大江居合の大森流居合一番目前:
「我体を正面に向け正座す、右足を出しつつ刀を抜付け前の敵首を切り更に上段になり同体にて前面の頭上を真直に切り、血拭い刀を納む」

 居合読本より中山博道居合の大森流居合1、初発刀:
「(意義)互に四尺位離れて対座せる時、急に敵の目の附近を横薙に切り付け、相抜きの場合は敵の抜つけし拳に切り込む、倒るる所を直ちに上段より斬る業である。(動作)徐かに両足尖を爪立てつつ左手拇指にて鯉口を切り僅かに外方に傾け右手を以て鍔より五分離して握る。次に右足踵が左膝頭附近に来る如く踏み著来ると同時に刀を抜く、・・・略す」

 河野居合は無雙直傳英信流居合術全より正座之部一本目前:
「正面に正座し十分気の充ちたる時、左手を鯉口に取り拇指にて鯉口おば切る、右手の全指を延したる儘柄に掛けて握り、柄を少し中央に寄せる様にし腰を左にひねりて刀を抜きつつ両足先を爪立て、膝を延び切るや右足を前に踏み出すと同時に刀を抜き払い、・・。略す」

 河野居合の10年後は大日本居合道図譜の正座の部一本目前:
「(意義)正面に対座する敵の害意を察知するや機先を制して其の抜刀せんとする腕より顔面にかけ斬付けんとす・・以下略」

 政岡居合は無雙直傳英信流居合兵法地之巻大森流一本目正面(初発刀):
「(目的)正座して対座せる敵の殺意を感じたので、先んじて「こめかみ」目がけて一文字に抜きつけ、真甲から切り下す動作・・略す」

 相手の心を読めと云うのですが、現代居合の教本は、河野先生の大日本居合道図譜以降は相手の殺意を察して一方的に横一線に相手の腕なり顔面に抜き付けています。然しこれでは害意也殺意であって、相手はまだ何も起していないかもしれません。相手の力量が上であれば、殺意がある如き素振りを、目や肩などに「ふっ」と見せれば我は「ここぞと」柄に手を掛けてしまいそうです。相手は我が動作をゆっくり見ながら、柄頭で相手の中心線を攻めるそぶりの瞬間、我に一瞬で抜き付けて来る筈です。むしろ読まれてしまうものです。ひどいのは、我が「十分気の充ちたる時、左手を鯉口に取り」などであれば、笑いながら斬られてしまうでしょう。

 形(かたち)の稽古ばかりに終始していたのでは、古伝の伝承者には程遠い者と云えるかもしれません。神傳流秘書の構成は、初めに抜刀心持引き歌で居合の何たるかをズバリと教えて来ます。次に業技法、所謂居合の形を見せ、それを十分一人で形通りに抜けるようになったところで、武術的素養を仕組みと称する組太刀で習わせ、無刀に至る体裁きを身に付けさせる構成になっています。補足は寧ろこれが奥義と云える極意を伝えて来ます。従って、抜刀心持引歌は初心の者は当然のことながら、には棒振りの順番を習っただけですから、歌の詠まれている意味は読み取っても、其の居合心に至れるかは稽古の仕方を考えて自得する以外に無さそうです。 
 

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