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2020年1月10日 (金)

道歌2古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌2の13横雲

道歌
2、古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌
2の13横雲

横雲

深山には嵐吹くらし三吉野の
     花か霞か横雲の空

 この歌は抜刀心持引歌のそれぞれにあった前書きが有りません。
 前回の「敵太刀打かたき我に切て懸るにはやく抜合せむとすれば必ず負事有能く工夫有るべし。 歌に、 居合をば知ったふりしてつかるゝな居合の道を深く問うべし。 身の曲尺の位を深く習ふへし留めねど留る事ぞふしぎや」の次の行に突然書き込まれています。
 この、心得を歌に託したと云うのが横雲・虎一足・稲妻・浮雲・山下風・岩波・鱗返・浪返・瀧落の9首の歌が続きます。歌の題は英信流居合之事は10本ですから此処に無いのは現代の大江居合では「真向」所謂「抜打」の歌が無いだけです。歌の順番と業の順番では7首目と8首目の順番が入れ替わっています。
 前回の「敵太刀打かたき我に切て懸るにはやく抜合せむとすれば必ず負亊有能く工夫有るべし」の教えを念頭に置いて、それに英信流居合之事の業手附を合わせて解読してみます。
 その前に、古伝神傳流秘書の英信流居合之事の前書きに「是は重信翁より段々相伝の居合、然るものを最初にすべき筈なれども先ず大森流は初心の者、覚え易き故に是を先にすると言えり」とあります。
 現代居合では大江先生の改変で「立膝の部」となっていますので「英信流」と云うと長谷川英信の改変した居合と思ってしまうのですが、英信流は重信流が伝承されて来たものなのでしょう。
 古伝神傳流秘書の「居合兵法伝来」という道統が始祖林崎神助(甚助の誤認)より書かれている後付けに「目録には無雙神傳英信流居合兵法とあり、是は本重信流と言うべき筈なれども長谷川氏は後の達人なる故之も称して英信流とあげられたる由なり」とあります、従って英信流は重信流が元になって伝承されたと、第9代林六太夫守政は述べています。長谷川英信が改変したので英信流というのでは無さそうです。

 英信流居合之事一本目横雲「右足を向へ踏み出し抜付け打込み開き足を引きて先に座したる通りにして納る」
 これだけですから、英信流を知らない人には何が何だか分からない手附です。簡単に一本目を手付け通りに演じれば、右足を前に踏み出し正面に座す相手に、横一線に抜き付け、上段に振り冠り真向に斬り下し、刀を右横に開き、右足を左足に引き付けつつ納刀、本の座した姿勢となる。というものです。
 この歌が「深山には嵐吹くらし三吉野の花か霞か横雲の空」三吉野の奥山では春嵐が吹いているのだろうか、山の端にサクラが散ってなのか春霞なのか横雲が掛かった様に見える。桜の季節の心地よい長閑な風景を詠んでいます。横雲という横にたなびくように見える雲の語句を業名と合わせてみたというだけかもしれません。英信流の歌は総て業名に由来するので、歌心が居合の業と会うかは疑問ですが、違和感があっても合わせて見ます。
 武的歌心を、無理やり思い描くならば、相手の気を察し、圧して来るに乗じて、横一線に抜き付けろ。とでも解釈すればいいのでしょう。

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