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2020年1月14日 (火)

道歌2古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌2の17山下風

道歌
2、古伝神傳流秘書より抜刀心持之事
2の17山下風

 高根より吹下す風の強けれバ
      麓の木々ハ雪もたまら春


読み「高峰より吹き下ろす風の強ければ麓の木々は雪もたまらず」高峰から吹き降ろして来る風が強ければ、ふもとの木々には雪も積もる事はない。所謂、山颪、颪を歌った歌でしょう。

 古伝神傳流秘書英信流居合之事5本目「山下風」
 右へ振り向き右の足と右の手を一所尓て打倒し抜付後同前但足は右足也 浮雲と足は相違也

 歌心より古伝の「山下風」の手附の動作が読み取れません。
 「右へ振り向き」ですから、相手は我が右に座すのでしょう。相手が仕掛けて来たのか、我から仕掛けて行くのか、手附は語らずですから「右へ振り向き右の足と右の手を一所にて打ち倒し」ではどうする。河野居合では相手の害意を察して機先を制するのですが、相手が抜刀して斬ろうと柄に手を掛けるなら、相手の仕掛けです。話の合間に相手から殺意を感じて動作をするならば我からの仕掛けです。

 河野居合から「颪」の意義:我が柄を取らんとするを我れ柄頭を敵の顔面に当てる、敵退かんとするを直に其胸部に斬込み右に引き倒して上段より胴を斬下して勝つ」(大日本居合道図譜より)

 中山博道の長谷川英信流居合山下風の意義:右側面に坐せる敵が抜刀せんとするを取り敢えず刀柄を以て其の手瀬を強打しヒルム所を抜刀して斬りつけ、其の殪(たお)るゝを再び正面より胴部に向ひ切り下す業である。居合読本より。

 細川義昌居合と思われる広島の梅本三男「居合兵法無雙神伝抜刀術」の英信流表之部山下風:(右側に座して居る者を斬る)正面より左向き居合膝に座し、例に依り左手を鯉口に執り腰を伸ばしつつ右膝を立て、体を右へ廻し正面へ向くなり右足を引付けると同時に柄を右胸部へ引上げ右手を柄に逆手に掛け右足を踏出すと共に鍔にて対手の左横顔を打ち、直右足を引寄せる。同時に鯉口を腹部へ引付け刀を右真横へ引抜き(切先き放れ際に)左膝を左へ捻り正面より左向きとなり、対手の胸部へ(切先き上りに手元下りに)斜に抜付け、更に体を右へ捻り戻しつつ・・。」

 大江居合の颪:左向き腰を浮めて右斜めに向き、柄止め、直に左へ足を摺り込み、其踵へ臀部を乗せ右斜向体となり、斜刀にて筋変へに打ち其形状にて左手は刀峯を押へ・・。剣道手ほどきより。

 明治以降の動作は既に古伝から飛躍し始めて居ますから、その様な教えが伝承されていた、と信じて、それも有りとするのがおおらかでいいでしょう。相手が我が柄を取りに来る、相手が抜刀しようと柄に手を掛ける。何れもありでそれに応じる業としておきます。

 歌心は、相手が我が柄を取りに来るので、それを左に外し、即座に柄にて相手顔面を強打する、或いは相手抜刀せんとするを、即座に其の柄手を我が鍔で強打する、更に我は抜刀して相手に斬り付ける。この一連の動作は、静から動へ一気に吹き降ろす山風の如き激しさを求めたのでしょう。是では打たれ斬り込まれたものは堪らず成すがままに引き倒され胴を切られる。歌心を描きながらこの業を演じるとすれば、相手の手を外して打ち突く動作は一拍子で、打ち突や抜刀して斬り付け、引き倒すもので、一連の動作は素早いもので間を開けないとも思えるものです。

 
 

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