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2020年1月 2日 (木)

道歌2古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌2の5乗り得ても心ゆるすな

道歌
2、古伝神傳流秘書より抜刀心持引歌
2の5乗り得ても心ゆるすな

偏二大海を渡る二陸尓て行けは命を失ふ、故二舟二乗りて行也、居合柄口六寸の大事偏二彼の舟の心持としるへし。然れ共舟尓てかなら春渡海春と思ふへからす 歌に

乗り得ても心ゆる春な海士小舟
     浪間の風の吹かぬ日ぞなき

右浪間の風能く合点しては舟ものら春 古歌に

有となしと堺を渡る海士小舟
     釘も楔も抜希果てにへり

此の心尓てよく工夫有へし 口伝


一途に思い込んで、大海を渡ろうとする時、陸にて行けば命を失う、故に舟に乗って行くのである。と、云うのですが海を渡るのに陸からばかリ行く事など出来るわけもないのですから、船に乗らざるを得ないのは道理です、其の上陸から遠回りすれば危険が一杯と云うのでしょう。
 だから舟に乗って真直ぐに行く、居合の「柄口六寸」の教えの大事は、敵の斬り込みに対し一途に敵の拳に切り込む、十文字勝の心得は舟に乗って行く心持ちと悟るべきものである。
 然し船にて必ず渡海出来ると思ってはいけない、歌に「乗り得ても心許すな海士小舟浪間の風の吹かぬ日ぞなき」と一途に拳へ打込んでも間と間合いが合わなければ目的は果たせない、浪間に風が吹いて、海が荒れてしまえば思い通りに目的が果たせない事もある。
 この浪間の風を十分に知らなければ舟に乗る事も出来ないのである。敵との間と間合いに対する心得を身に着けなければ「柄口六寸」の教えは果たせないのです。
 浪間の風の有る無しに拘わらず、渡海する海士小舟も、状況判断を誤れば、舟の釘も楔も抜けて沈没してしまうよ。この心得を知って良く工夫すべきでしょう。

 現代居合は仮想敵相手の一人演武が指導されます、それも自分に都合の良い想定です。或は想定などお構いなしの形だけがほとんどでしょう。此処での想定は、敵が黙って斬られるような都合の良い状況では無さそうです。敵の害意を察して、こうするなどの勝手な妄想に依るのではないでしょう。
 敵が我が肩、胴、足いずれにでも斬り込んで来る、その敵の心の動きと同時にほんのわずかな動作を知って、拳に遮二無二打込んで「柄口六寸」の勝を制する極意業への心構えを歌い上げていると解釈できます。

 十文字勝については敢えて解説しませんが、敵の刀を受けてから斬り込むのではなく、また、外して斬り込むのとも異なります。敵の「柄口六寸」に打ち込んだ時が切った時であり、敵の刀を外した時と云えるでしょう。
 土佐に持ち込まれた居合は、抜刀術がメインでは無く、総合武術としての教えを秘めています。

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