« 道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の7ひしとつく敵の切先 | トップページ | 道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の9急な為に »

2020年2月17日 (月)

道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の8早くなく

道歌
3、田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌
3の2の8早くなく

田宮神剣は居合歌の秘伝
早くなくおそくはあらしかるくなし
       をそきことをぞあしきとぞいふ

曾田本居合兵法の和歌
早くなく重くあらしな軽くなく
      遅き事おや悪しきとそ云

新庄藩の林崎新夢想流秘歌之大事
早くなくおそくはあらじ重なく
      かるき亊をばあしきとぞ云

 珍しくこの歌心は夫々に伝承されたのでしょう、指導者にとってわかりやすかったのかも知れません。
「早くなく」の書き出しは同じなのですが、上の句は田宮流は「遅い・軽い・遅い」で「重い」がありません。曾田本は「重い・軽い・遅い」。秘歌之大事は「遅い・重い・軽い」とそれぞれです。
 下の句で悪いのは田宮流と曾田本が「遅き事」を悪いと言って居ますが、秘歌之大事は「軽き事」を悪いと言っています。いずれにしても悪いのは「早い・遅い・軽い・重い」の四つは悪いという事です。それではどうすればいいのかは、歌を味わって自分で考えろと云うのでしょう。
 この歌に抜けている事に「強い・弱い」、「硬い・柔かい」という言葉ですが、組み合わせを色々やって見て納得すればいいのでしょう。例えば「早く・軽い」「早く・重い」「軽く・遅い」「重く・遅い」。
 いずれにしても、相手に応じて「ちょうどいい」抜き付けをすべきもので、現代居合のように仮想敵相手に抜き付けるばかりでは、自分のやりやすいものになりやすく、競技会や審査の審査員の思い込みに引きずられて同じような動作ばかりが目に付きます。

 宮本武蔵の五輪書を読まれた方は気が付かれたと思いますが「兵法のはやきといふ所、実の道にあらず。はやきといふ事は、物事の拍子の間にあはざるによって、はやきおそきといふ也。其道上手になりては、はやく見へざるもの也。たとえば、人にはや道といひて、四十里五十里ゆくものもあり。
 是も朝より版迄はやく」はしるにてはなし。道のふかん(未熟)なるものは、一日はしるやうなれども、はかゆかざるもの也。乱舞の道に、上手のうたふ謡いに、下手のつけてうたへば、おくるゝこころありていそがしきもの也。
 又、鼓・太鼓に老松をうつに、静かなる位なれ共、下手は是にもおくれさきだつ心あり。高砂はきゅなるくらいなれども、はやきといふ事悪しし。はやきはこけるといひて、間にあはず、勿論おそきも悪しし。是も上手のする事は緩々と見へて、間のぬけざる所也。
 諸事しつけたるもののする事は、いそがしくみえざる物也。此のたとへをもって、道の理をしるべし。殊に兵法の道において、はやきといふ事悪しし。其子細は、是も所によりて、沼・ふけなどにて、身足ともにはやくゆきがたし。太刀はいよいよはやくきる事なし。はやくきらんとすれば、扇・小刀のやうにはあらで、ちゃくときれば、少しもきれざるもの也。能々分別すべし。
 大分の兵法にしても、はやくいそぐ心わろし。枕をおさゆるといふこころにては、少しもおそき事はなき事なり。亦人のむさとはやき事などには、そむくといひて、静かになり、人につかざる所肝要也。此心の工夫・鍛錬有るべき事也。」

 田宮流「規矩準縄」で歌伝口訣の中に「敵合に早き業とは何をいふこゝろとどめぬ人をいふ也。」「初学には調子を習へ兎に角に早きにまさる兵法はなし」歌だけ読んでいますと、言っている事が矛盾している様に聞こえて来ます。


 

|

« 道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の7ひしとつく敵の切先 | トップページ | 道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の9急な為に »

道歌3田宮流居合歌の伝」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の7ひしとつく敵の切先 | トップページ | 道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の9急な為に »