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2020年2月 3日 (月)

道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の1規矩準縄8居合とは早き

道歌
3、田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌
3の1規矩準縄
8居合とは早き

田宮流歌伝口訣
居合とは早き業とは何をいふ
      こころとどめぬ人をいふなり

曾田本居合兵法の和歌
この歌は存在しません。新庄藩秘歌之大事にも有りません。

 居合での「早き業」と云うのは何を言うのかと云うと、「心留めぬ人を云う」のだ。と歌っています。抜刀の抜き方がスムーズで素早い事を居合抜が早いというのでは無さそうです。
 前回の歌が「寒夜にて霜を聞くべき心こそ敵にあいての勝をとるなり」で心を鎮めよ、と云う歌心でした。今度は心を鎮めて其処の居付いてしまわないで相手の起こりを知るや否や打込みなさいと云うのです。それが心を留めぬ人で、それが「早き業」だと云います。

 妻木正麟著詳解田宮流の解説をお借りします「敵合に臨んで、敵がカウスルゾ、ナラバ、ヶ様にしようと色々思慮按排にわたる時は勝負合鈍くなる也。故にそこに心を留めず敵に向かふと、まだ敵の刀も振り上げぬと云やうふ(な?)る未発の場合に打込む時は必勝を得る也。思慮按排にわたらず無分別の住より見込みたる所を一断撃に討ち取るを心をとどめぬと云う也。」
 これは、心を静めて立合うや、相手の心の動きも、起こりも見る事無く先手必勝の「早き業」のように思えます。前回の歌で心を静めて相手の心を読み、相手の出方にここぞと云う隙を見出し、「こころとどめず」打込む其の事を「居合とは早き業とは」なんだと云う解答なのでしょう。

 さてこの解説は田宮流の思想ですから、無雙神傳英信流居合兵法の「身を土壇となして後自然に勝有その勝所は敵の拳也」とは聊か異なるようです。敵の拳とは「極意にて伝る所は敵の柄口六寸也カマエは如何にも有れ敵と我と互に打下ろすかしらにて只我は一図に敵の柄に打込也、先我が身を敵にうまうまと振ふて右の事を行ふ亊秘事也是神明(妙)剱也」と云う事で「我が身をうまうまと振ふて」、「互に打ち下ろすかしらに」打込むのを居合の「早き業」と考えたいところです。

 「こころとどめぬ人」にも「身を土壇となして」も、常の稽古で心掛けない限り身につくことは出来そうもありません。居合の仮想敵は何も攻め込んで来ない弓の「まと」程度に思い描いたり、組太刀での「形」だから約束の所に約束の間で「打込んでよ」という様な申し合わせではまず、身につかないものでしょう。

 

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