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2020年2月 4日 (火)

道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の1規矩準縄9初学には調子

道歌
3、田宮流居合歌の伝と曾田本居合の和歌
3の1規矩準縄
9初学には調子

田宮流居合歌伝口訣
初学には調子を習へ兎に角に
       早きにまさる兵法はなし

曾田本居合兵法の和歌
 この歌は有りません。

 初めて居合を習う者は兎に角調子を習いなさい、早きに勝る兵法はない、と歌っています。そこで「調子」とは何ぞやですが広辞苑で引いてみると以下の様です。  
   ●音律の高低、しらべ、音調
 ●楽曲の調、調弦法、箏(しょう・こと)の平調子、三味線の本調子
 ●雅楽の一種の前奏曲
 ●いいまわし、語調、口調
 ●ほどあい、ぐあい
 ●はずみ、勢い
 この様に使われる言葉として表示されています。この歌は居合或いは剣術の有り様を示すための言葉であれば、「ほどあい・ぐあい・はずみ・勢い」が適当と思われます。下の句の「早きに勝る兵法は無し」から類推すればこの調子は最も初心者向けなのは「勢い」、次いで「はずみ」次は「具合、ほどあい」かなと思います。
 「早きに勝る兵法」の早きとは何だとここでも疑問が出てきてしまいます。相手の先をとるのを早いというのと、勢いよく早いのとは意味が違うのですが其の事も含まれるとしたら、初学で相手の気に先んずる、起こりに先んずる、打込みに先んずるなどは余程でなければ出来そうにも有りません。そうするとただ早い動作を兎に角身に付けろと云うのでしょう。
 妻木正麟著詳解田宮流伝書口伝では「居合は抜付け一本にて勝つの教えゆえに、初学より先ず調子を習うが専一である。初めより、三調子に習はすこと肝要なり。それより二調子に、次に一調子に抜かすこと。この一調子は「ハナレの至極」という。初学よりは一調子にゆかぬ故、三調子、二調子の場合より習わすことが肝要なり。」
 妻木先生の解説では「三調子とはハ・ア・八ッと抜く、二調子とはハ・アと抜く。そして最後の一調子とは八ツと抜くのをいうのである。」とされています。
 
 ついでに、剣術では拍子と云う言葉がよく出て来ます。拍子とは何か広辞苑で引いてみます。
 ●一定の拍(はく)がひとまとまりとなってリズムの基礎をなすもの。拍の数により二拍子・三拍子などという。
 ●しお、おり
 ●はずみ、とたん
 ●ぐあい。調子
   調子と拍子は同じような意味合いとして捉えられそうです。この歌心を以て習うならばただむやみに早いのではなく三調子の間合いを詰めて一調子で抜けと云う事が早い抜で「早きに勝る」ものだという風に考えるべきものでしょう。
 左手を鯉口に懸け鞘送りしつつ鯉口を切る、同時に右手を柄に掛け抜き出しつつ、切先まで抜き出すや鞘引きと同時に抜き付ける。この一連の動作を一拍子、一調子に行えるよう稽古する事となります。その際総ての動作が初期に習った所作が全部行われていなければ一調子にはなり得ないし目的は果たせないはずです。

 この一調子を無理やりやろうとすると、こんな歌が聞こえて来ます。妻木正麟著詳解田宮流田宮流居合歌の伝より

 居合抜抜くとばかりを頼みにて
       丹錬なくばふかくたるべし

 居合とはつよみよはみに定まらず
       兎にも角にも敵によるべし

  早くなくおそくはあらじかるくなし
       おそきことをぞあしきとぞいふ

 つよみにて行きあたるこそ下手なれや
       まりに柳を上手とぞいふ

 無外流の中川申一著無外流居合兵道解説百足伝からもこんな歌が聞こえて来ます。

 兵法の先は早きと心得て
        勝をあせって危うかりけり

 兵法は強きを能きと思いなば
        終には負けと成ると知るべし

 兵法の強き内には強味なし
       強からずして負けぬものなり

 宮本武蔵の兵法35箇条に「兵法に身構有り。太刀にも色々か前を見せ、強く見へ、はやく見ゆる兵法、是下段と知るべし。又兵法細かに見へ、術を衒らひ、拍子能用に見へ、其品きら在て、見事に見ゆる兵法、是中段の位也。上段の位の兵法は、強からず弱からず、角らしからず、はやからず、見事にもなく、悪しくもみへず、大に直にして、静にみゆる兵法、是上段也。能々吟味有るべし。」

 

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