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2020年2月26日 (水)

道歌3田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌3の2の17金胎の両部

道歌
3、田宮流居合歌の伝と曾田本居合兵法の和歌
3の2の17金胎の両部

田宮神剣は居合歌の秘伝
金銀の両部正に見えにけり
      兵法有れば居合はじまる

(金胎の両部正に見えにけり
      兵法有れば居合はじまる)

曾田本居合兵法の和歌
金胎の両部と正尓見へ尓介り
      兵法有れハ居合者しまる

新庄藩林崎新夢想流秘歌之大事
金鉢の両部の二つと見しにけり
      兵法あれば居合はじまる
  (天童郷土研究会長伊藤文治郎氏読み)

 田宮神剣は居合歌の秘伝の「金銀」は恐らく「金胎」の間違いが伝書に書かれていたのでしょう、妻木先生も「金銀」を(金胎)とされています。伝書ですから敢えて訂正は憚られたのでしょう。
曾田本兵法の和歌は「金胎の両部と正に見えにけり兵法有れば居合始まる」とされています。曽田先生と伝書違いでしょう、木村栄寿先生の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業付解説」でも「金胎の両部とまさに見へにけり兵法有ば居合はしまる」と、「金胎」から始まっています。この資料は細川家より拝借された「居合歌之屑」からのようです。歌の順番や歌の中に曾田本と異なる歌がありますので、両先生それぞれの伝書からの引用でしょう。
 新庄藩の歌は「金鉢」で文字は鉢の草書体ですから、当初から「金鉢」として書かれた様で、明治になっても訂正されず「金鉢」で通されています。
 古伝の歌は、意味不明でも、先師の残されたものなので消去されずに残ったと云えるでしょうが歌心迄読み取れたでしょうか疑問です。

 金胎とは仏教における、金剛界と胎蔵界を意味するもので、金剛界は大日如来を智徳の面から開示したもの、胎蔵界は理から説いたもので金胎両部と云われる様です。

 智徳とは、「智と徳と。知恵と徳行と。智徳合一。諸仏三徳の一。一切の法を照らしてさまたげなき菩提をいう。またこの徳をそなえた高僧をいう。」(広辞苑)
理とは、「物事の筋道。ことわり。道理。中国哲学で宇宙の本体。物の表面にあらわれたこまかいあや。文理。」(広辞苑)

 金胎両部のごとく智徳と理の一体であればよいものを、両部と別れて見える時には、和する事もならず、コミュニケーションの最終手段である武術に依る決着を計ろうと居合が始まる。この歌の意味はこんなところでしょうか。
 仏教用語が居合の歌心に使われたと云えますが、どこまでこの歌を理解し得たのか、寧ろ往時の武士の方が難なく読み解いたのでしょうか。
  意見の食い違いよりも、当座の利益が相反する時に兵法が前に出て来たでしょう、と云ってしまうと何か情けなくなってきます。

 

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