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2020年9月21日 (月)

道歌6塚原卜伝百首6の52もののふの身に添て指す

道歌
6、塚原卜伝百首
6の52もののふの身に添て指す

もののふの身に添て指す刀には
       椿の油みねにぬるべし
別伝
もののふの身に添て指す刀には
       椿の油身にはぬるべし


 武士が身にそえてさす刀には、椿の油を峯に塗るものである。
 別伝は「椿の油身にはぬるべし」で峯だけでなく刀身に塗るとなります。

 この、椿油を刀に塗るのは刀身を錆から防ぐために塗るのか、鞘から容易に抜き付ける滑りやすさの為なのかと疑問が湧きました。それは刀に椿油を「刀の峯」に塗るのだと云うからなのですが、椿油は乾燥しない植物油ですから鞘の中で行き渡るのかな、など取り敢えず置いておきます。
 刀の錆止め油には「丁子油」が知られていますが、丁子油は寛文12年1672年頃にインドネシアモルッカ諸島あたりから輸入されてきたもので、卜伝の時代には丁子を香料として使用していた程度の様です。
 椿油は8世紀位から搾油されて使用されていた様で料理にも、髪の毛の手入れにも、刀の手入れにも重宝な油だったのでしょう。

 刀の手入れは、刀身を鞘から抜き出し、柄をはずし、和紙で油を拭い、打粉を打って油と錆などを拭いとる。布に丁子油を含ませて刀身に塗るのです。この時植物油の椿にしろ丁子にしろ酸化するので長い間放置して置くと錆の原因となります。
 江戸時代の刀の手入れ法は作法に従って丁子油で手入れをしていますから、現在でも武術とその刀に特別な思い入れを持って精神性を保持している様な人はその範囲を一歩も出ることは出来ません。

 近年は、拭い紙は何度も繰り返し和紙を使用するのも錆を塗りたくっている様なものですから、ティッシュペーパーで拭い捨てる事がお勧めです。
 打粉には内曇砥の砥石の粉が含まれているので疵の原因と成るので使用を刀屋さんは嫌います。
 
 居合などでは納刀の際に何度も峯を鯉口に当て辷らせますので峯に当たり傷が出来、そこから錆がでます。切先なども指で触れる業など有って錆びやすいのです。
 刀鍛冶の方の手入れ法は、油をまず拭き取り、打粉を打って拭き取り、又打粉を打って拭き取り、三度程打粉を打って拭き取り、それから丁子油を塗る、と話されています。

 現代の刀屋さんの方法は、まずティッシュペーパーで油をふき取ったら、ベンジンを綿などにしませて刀身を拭く、一拭きで古い油は拭き取れるので、刀の膚に疵をつける打粉は打たない。次に機械油(ミシン油)を一塗りする事で充分、と話されています。ベンジンや機械油に化学変化の起る危険性は特に無さそうですが、打粉や植物油より良いはずです。油なら何でもと云って菜種油やゴマ油などは乾燥性ですから不向きです。

 刀は武士の魂と云って、武士でもない人が武士の真似をしたがる様な人は従来の侭が好ましでしょう。
 昔の武士はもっとおおらかに新しいものに接し、取り入れていったはずです。現代の武術趣味の方は、懐古趣味と云うより何処かずれていて、世の中の為に役に立つのか疑問です。
 
 上泉伊勢守信綱が柳生石舟斎宗厳に訓示したとされる一文「兵法は時代によって、恒に新たなるべし。然らざれば、戦場戦士の当用に役立たず。また忠孝節義の道を践み行うことはできない。」柳生延春著柳生新陰流道眼、始終不捨書序文より
 
 
 

 

 

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