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2020年11月13日 (金)

月之抄を読む2、新陰流兵法目録 序 閑長老作の4

月之抄を読む
2、新陰流兵法目録
序 閑長老作の4


 当時、宗厳公思いを兵術に凝らして曰く、刀剣を持ちて敵を制するは格外の玄術に非ず(決まり事以外の幻の術、魔術ではない)。豈赤手(意味は素手)にして人を殺す手段に有らざらんや。
 是に於いて、工夫日に積り、煅煉(たんれん・鍛錬)年を累(かさね)、別に新たな意(かんがえ)をい出す。忽ち白戦(無刀、蘇軾の詩「白戦い寸鉄を持つを許さず」から)の術を得る。◯然(今村本 鍛然、たんぜん、意味は?)として彼剣を揮い我を撃つ、翻然(ほんぜん 意味はひるがえって)として飛び去り、右転左転、歩々風起る、前に在り忽焉(こつえん、意味はたちまち)として後ろに在り。手に寸刃を持たずして却って逼人(ひょうじん 意味はせまるひと)を抑える。身に寸縄を施さず却って殺敵を縛す、赤手にして長蛇を捕え、控勤(こうきん 意味は手抜き)を施さず、生馬に騎し、他の刀剣を掠奪し、却って侘(他)眼を晴らし刳(えぐる)が如し、一時敗者を捉えれば、寔(まことに)人意之表を出す。
 超然の才、絶倫の識に非ずんば、豈能くこの如くならんや。この時にも。魔外命を乞、賁育(ふんいく?、孟子のこと)手を拱き、下◯虎を搏(うつ)、項羽人を叱り、亦下風に立つ者也。
 天下に兵を学ばん者の之を捨て何を求めんや。吁(ああ)盛ん哉。睠(かえりみる)に、夫れ師の道を伝るに其の人を識らずして妄りに伝えば、則却って其の害を受けん。后◯(すい?)射を逢衆に伝う、飛衛射を紀昌に伝は是也。
 若し剣術を以て人に伝うるは則庚公(こうこう)の斯くの如き者を撰ばん。之を伝えれば可成らん乎。其の人に非ずしてその道を伝える如く、蓋し(けだし)聞く、師の資を相承し、恰も一器の水を一器に瀉(そそぐ)に似たり、一燈を分かちて百千燈と成すが如し。
 始めより、殊に異なること無し。然りと雖も、工夫浅深、鍛錬厚薄有るに依って其の術も亦工拙軽重有。業は勤めるに精、嬉しいに荒、行きて思い成り、随いに毀(やぶる)。精を研ぎ、思いを罩(こめ)、而して後其の至微に至るべき也。精微要妙なるは、言を以て宣ぶべからず。只熟するにのみ在る乎。賢士太夫武を以て世に名を成すは、学ばざるべからず。光陰荏苒(こういんじんぜん、意味は 為す事も無く月日を過ごすこと)、時を惜しむべき也。老いて悔い、何及哉(なんぞ及ぶべけんや)、勉旃(べんせん 意味はこれをつとめよ)。

 現在では、そのままでは文字も読めず、読めても意味が伝わらないような、熟語が書き連ねてあるのですが、此処はできるだけ原文のままの読み下しで終わらせておきます。尚、読み下しに当たり、芳徳寺所蔵の「月之抄」原文を読んでおりますが、今村嘉雄著史料柳生新陰流下巻を参考にさせてもいただいています。
 新陰流の上泉伊勢守を讃え、柳生石舟斎宗厳をも讃えている序文となります。
 この序文の筆者が書かれていないのですが、この文章の最終章の末尾の「勉旃」は臨済宗のもので其処から、同時代の沢庵和尚を頭に描きました。柳生宗矩との関わりから当然として間違いは無さそうです。この辺は、何方か興味のある方はご研究下さい。

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