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2020年11月20日 (金)

月之抄を読む8、極意之太刀 数六つ 9、活人剣

月之抄を読む
8、極意之太刀 数六つ
9、活人剣


8、極意之太刀 数六つ
添截乱截 無二剣
此の構二つ也。敵添截をつかふ時、仕掛を無一剣にて勝なり。

9、活人剣
これより構なくして仕掛をせん(先)にして、敵のはたらきに随。拍子あひこの心より出るなり。何も序、きり相を稽古して敵のやうすをみる事是よりはじまる也。
私云、右の六つの太刀の外に八箇必勝口伝あり。砕重々之在と書入たる亡父の目録あり。

 8、極意の太刀 数六つ
 添截乱截・無二剣。此の構え二つである。敵添截を遣う時、仕掛を無一剣(無二剣)にて勝つのである。
 この文章から「極意之太刀」があって数は六つあると云うのですが、添截乱截と無二剣の二つしか書かれていません。この二本の太刀の構えは二つと云うのでしょう。敵が添截を遣う時には、仕掛を無二剣で応じて勝つのだと月之抄を読んだだけでは意味不明です。その上「添截乱截」と一つの太刀でしょうが、添截だけの役を云うだけで乱截の事には何も触れていません。

 9、活人剣
 是より、構は無くして仕掛を先にして、敵の働きに随い拍子合い、この心より活人剣となるのである。何れも序(はじめに)、截り相を稽古して敵の様子を見る事、是より始まるのである。
 私(十兵衛)云う、右の六つの太刀の外に八箇必勝口伝がある。砕き(くだき)重ね重ね之在と書き入れた亡父の目録が別にある。

 この極意之太刀と活人剣を一つのくくりとしても、添截乱截・無二剣・活人剣の三つしか見当たりません。活人剣は独立した太刀かと思う様な書き込みですが、極意の太刀の一つでしょう。
 あと三つは月之抄の次回に投稿する、「10、廿七ヶ条の截相之事」も極意の太刀であるとすればその中に「・・この外に、向上、極意、神妙剣」と太刀名が見えます。さすればこの「極意の太刀 数六つ」「添截乱截・無二剣・活人剣・向上・極意・神妙剣」となって数六つになります。
 尾張柳生を学ぶ者は、この六つの太刀数のある勢法は「奥義の太刀」の太刀名「添截乱截・無二剣・活人剣・向上・極意・神妙剣」である事に気が付くはずです。
 ハ箇必勝は天狗抄を指しているのでしょう。天狗抄は「花車・明身・善待・手引・乱剣・二刀・二刀打物・二人懸り」の八箇となります。八箇必勝の必勝の意味が読み取れません。九箇の一本目が「必勝」ですがここに示すものでは無いでしょう。
 
  柳生厳長による正傳新陰流の柳生石舟斎自筆相伝書1、新陰流兵法目録事ー太刀の目録 一巻」とあるのに依れば、三学・九箇に続いて以下の様です。
  天狗抄 太刀数八つ
  添截乱截・無二剣・活人剣・向上・極意・神妙剣・ハ箇必勝。
  二拾七箇条截相
 ・・奥書・・
 この太刀目録は慶長8年1603年に宗厳より兵介長厳(如雲斉兵庫助利厳)に相伝した太刀目録です。この意味不明の書き方は石州斉宗厳によって、題名や太刀名を秘して書き載せない判例を示したとしています。
 月之抄では天狗抄は太刀数八つで花車・明身・谷待(善待)・手引・乱剣・ふたつ具足打もの(二刀・二刀打物)・二人相手にして勝心持(二人懸り)で表記され、極意之太刀は尾張柳生の奥之太刀として数六つで添截乱截・無二剣・活人剣・向上・極意・神妙剣となります。
 石舟斎宗厳の新陰流兵法目録事ー太刀の目録 一巻には燕飛や天狗抄、更に七太刀も記載はないのです。
 天狗抄には花車以下八つの太刀名を持つのに記載無く、奥義の太刀は、月之抄では極意之太刀と改名され 添截乱截以下数六つの太刀名が複雑な記載の仕方によっています。月之抄の複雑な記入の仕方は、宗矩は柳生新陰流のただの印可をうけているばかりで、正伝していない為の配慮に依るのかも知れませんが、そんな都合より意味不明な書き方に悩まされて、素晴らしい月之抄に先を思いやられます。

 この辺の月之抄の勢法の太刀名表記の仕方や、石舟斎宗厳の勢法の題名や太刀名を書き載せない心積りなどは、そちらに興味のある実技門外漢の武術史屋さんにお任せしておきます。
 柳生新陰流の多くの伝書が容易にみられる現在を思う時、江戸時代初期の兵法で生活していた時代は兎も角、現代では何ら隠す意味が見いだせないし、その意図する事を解きほぐす必要はありません。伝書によって新陰流の事理一致の真髄に迫れればよいだけです。然しいずれにしても柳生新陰流の伝書を総なめしながら、同時に人一倍の稽古をする気がありませんと傍にも近寄れないでしょう。

 
 

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