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2020年11月10日 (火)

月之抄を読む2、新陰流兵法目録 序 閑長老作の1

月之抄を読む
2、新陰流兵法目録
序 閑長老作の1

*漢文調で書かれていますので、原文を掲載せずに読み下し文と致します。

夫れ兵術は身を保ち、敵を亡ぼし、家を斉(ととのえ)、軍を治し、國を制し、天下を平らかにする之道也。
庶人之を得れば則ち身を保ち、勇士之を得れば則敵を亡ぼす。
大夫之を得れば其の家を斉(ととの)う。戦将之を得れば則軍を治す。諸侯之を得れば則国を制す。天子之を得れば天下を平かにす。
戦を以て戦を止むる之意也。是故鋭士(?)勇将、
威に於いて天下に立たんと欲する者は、兵術に由らざる無し。
而して兵術之要、
於て必ず克つより大なるは莫し。
彼此相対、鋒を交え刃を接せんと欲するの端皈に臨んで
彼以て来るべし、我以て往くべし。彼人也。我人也。
蜂台猶毒有、
況や人に於いておや。而しても又兵両(ふたつ)ながら勝たず、両(ふたつ)ながら負けず。
強弱分かるゝ所
生死罹る(かかる)所、危之至り也。慎まざるべけん乎。此の時において勝を白刃の前に決せんと欲すれば則自ずから剣闘之妙術を得る者に非ずんば、豈能く必勝の利を得ん乎。
仮令(たとえ)人膂力人に迥ぎ(りょりきひとにすぎ)、山を抜、鼎を扛(かなえをあげ)陸地に船を盪(あらう、動かす)如し。
亦剣術を得ざれば、必ず敵棲せられし所為り。
仮令人于将莫耶・大阿・竜泉の如く天下の妙剣を持つ有と雖も、亦剣術を得ざれば、必ず敵擒(とりこ)の所となる者也。
昔罫か荊軻秦王に誅せられたるは是也。

故に史記云う、荊軻惜しむらくは刺剣之術を講ぜざる。
大史公も亦剣術を貴ぶ此の如くなり。楚の項羽剣を学び成らずして曰く剣は一人の敵、学び足らず、我万人の敵を学ぶ。
此の言是に似て非なる者や。一人の敵を学ぶ能わずして、
豈能く万人の敵を学ばんや。
一人万人、多寡異なると雖も、敵を亡ぼす道に至りては一つ也。

項王身を死國に亡び、笑いを天下に取るは亦、宣哉(むべなるかな)

「夫れ兵術は、敵を亡ぼし、家を斉、軍を治し、天下を平らかにする之道」これは「大学」にある「脩身斉家治国平天下」によるものと思われます。
 兵術すなわち剣術は「一人の敵を学ぶ能わずして、豈能く万人の敵を学ばんや」と云い、「敵を亡ぼす道に至りては一つ也」と一人に対する兵法は万人に対する事にもなるのだと史記の荊軻の例をあげています。

 

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