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2020年11月 8日 (日)

月之抄を読むの前書

月之抄を読むの前書

 剣術の伝書は、柳生但馬守宗矩の兵法家伝書と宮本武蔵の五輪書が一般的で、特に剣術を志していない人にも多く読まれていると思います。
 剣術の極意とする心得を主とするものでありながら、剣を持たない多くの読者を持つと云う事は、業技法に留まらない心の持ち様の事が、人が生きて行上で参考とされて来たからと思います。同様に柳生但馬守宗矩と親交の深かった品川東海寺の沢庵和尚の不動智神妙録なども普遍的読者を持つもので、これ等は我が国の武術思想の根幹をなす教えが解りやすく述べられ、その後の武術各流派の教えの根幹をなしている事も見受けられます。

 ミツヒラは無双直伝英信流の修行者であると同時に柳生新陰流も稽古をして居ます。無双直伝英信流の古伝無雙神傳英信流居合兵法の古伝神傳流秘書には随所に柳生新陰流の影がちらつきその影響力は江戸期の幾つかの剣術流派にも多くの影響を及ぼしたと思われます。
 伝書は、秘されて他流の者が目に見る事は叶わなくとも、価値ある武術思想は、口伝えなどによって広く伝播していくのは当然の事でしょう。
 
 この一年ほど、無双直伝英信流の秘歌を皮切りに、無外流の百足伝、柳生新陰流の石舟斎兵法百首、塚原卜伝の卜伝百首と読み続けてその歌をブログに投稿して来ました。
 戦国時代から江戸時代中期前半のこれ等の歌の原書の写し書きも、今ではさしたる困難も無く望む者誰でもが見ることが出来、自ら読み下す能力さえあれば、歌い手の側に少しは近づく事も可能です。幸い書道を少々齧っていますので、古文書解読も何とか進められ、自分なりに糸口が見えていたものでした。
 
 そんな中で、品川東海寺所蔵の柳生新陰流兵法覚書を数年前に手にしておきながら、無雙神傳英信流居合兵法の古伝神傳流秘書に没頭して手に入れた当初ざっと読んだだけで大切に保管してありました。この度その解読を進めて行きますと、柳生新陰流の独特の武術用語に秘められた極意の心持ちが伝わってきます。読み解くに当たり尤も参考にさせていただいたのが柳生十兵衛三厳に依る月之抄でした。この品川東海寺所蔵柳生新陰流兵法覚書は江戸の柳生宗矩の原本を東海寺の沢庵和尚に見てもらった際、東海寺で写し書きされた様で奥書から推測されました。古文書の為虫食いや欠落も有った様で、内容は、尻切れであったり飛んでいたりしていますがほぼ、当時の様子を偲ばせます。
 その解説をブログで公開したい旨、お話しさせていただいたのですが、ブログのような不特定多数に配信する事を嫌われ不許可となってしまいました。東海寺本をもとに月之抄を読み込む事で柳生新陰流を深く知ろうとしたのですが、それは無しとして御蔵入りと致しました。
 現代的なNetによる研究発表が誰でも可能であり、誰でもより深い研究を読むことができ、素晴らしい論文も見られます。辿り着ければ幾らでも手に入れられる情報を嫌い、格式の有る対面指導、発行された書物以外は良しとしない考えには異論はありますが、400年も前の伝書の写しが眠ってしまうのは残念ですが、Netに嫌悪を抱かれるのも、人さまざまでやむおえない事でしょう。

 月之抄は柳生十兵衛が祖父柳生石舟斎の教え、父柳生宗矩の教え、その他を参考にまとめ上げたもので、柳生宗矩の教えに依るだけでしたら価値は半減するかもしれませんが、恐らく柳生新陰流の用語や極意の心持ちを精しく伝える伝書は、この「月之抄」であろうと思われます。

 今回はこの「月之抄」を原文を片手に読み解いて行こうと思います。項目で240は有る様ですから一日一項目としても8カ月以上かかるものと思います。
 内容は、言葉で理解出来ても、いざ剣を取って実行できる心に至れるかは、修行によるとしか言いようは有りません。柳生新陰流の形をすべて演じられても、其処に秘められた極意の心持ちは、形を「かたち」としてしか考えず稽古も順番を追って手足を動かすことを良しとする人には難しそうです。
 稽古をする中にこの柳生新陰流の教えを取り込めたなら、たとえそれが教えられたものと乖離しても、古伝により近づける糸口になるやもしれないと思いつつ、学んで見ようと思う次第です。

  原文は、漢字仮名混じり文で、漢字は行草、仮名は変体仮名の草書となります、その上独特の文字の癖が難解ですので、現代では原文の月之抄を見ても読めない、読めたとしても語句の意味が分からないのが当たり前です。随って、一般的には弟子は師匠の口伝ばかりが頼りですが師匠の一人合点では古流剣術は捻じ曲がるばかりです。幸い、私の新陰流の師匠は事理一致の師匠である事は幸せな事です。
 現代漢字及び現代仮名使いで読み下し文をのせ、同時に現代風読みを以て解説としますが、解りにくい処は資料を添えておきます。飽くまでも柳生新陰流の修行の根幹に触れる事を目的としますので、其の辺は読まれた方のご判断にお任せしておきます。

 参考とした伝書は、十兵衛三厳の月之抄原文。石舟斎の新陰流截相口傳書亊、没滋味手段口傳書原文。宗矩の兵法家伝書。兵庫助利厳の始終不捨書原文。

  

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