曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く

2018年12月 4日 (火)

曾田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く29神心八相事3軍中首取様ノ事

曾田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
29、神心八相事
3軍中首取様ノ事
 軍中首取様ノ事 敵ノ首ヲ取ル二咽ノ方ヘ刀ヲヤリカキ切ルトキハ切レヌ物也切レテモ間ヲ取ルナリ先錣ヲ上へ押シ上ゲウナシヨリ刀ヲ突立首ノ大骨ヲ突切ッテ後刀ヲ踏テフミ切テ一方ノ肉ヲカキ切ルベシ故二上手ノ搔キタル首ハ二刀二切目手際二切レテ有ルトゾ
 以上 居合印可口受之覚終
読み及び読み解く
 軍中に於いての首の取り様の事が語られています。
 敵の首を取るのに、咽の方へ刀を当てて搔き切る時は切れないものである。切れても手間を取るので、まず錣(しころ)を上へ押し上げ項(うなじ)より刀を突き立て首の大骨を突き切って、後、刀を踏んで切って一方の肉を搔き切るのである。
 それ故に上手の人の搔き切った首は、二筋の刀の切れ目があり手際よく切れている、とのことである。
 以上 居合印可口受の覚え書き終わり
 「軍中首取様ノ事・・・・・・・切レテ有ルトゾ」で締められています。この覚えを語ったのは第九代林六大夫守政で覚書したのは第十代林安大夫政詡でしょう。戦場での経験が無い二人でしょうから、経験を語ったとは言えないので、この様に締めたのでしょう。
 この項を書きながら、首を取る事の意味を改めて思いに耽るのでした。ほんの400年前の事なのです。
 日本人同士の殺し合いは、150年前の事であり、若者を戦場に駆り立ててお国の為と云って銃砲に晒したのは、たった73年前の事です。
 そして同様に、戦闘員では無い多くの民間人が無差別殺戮にあったのも73年前の事です。
 それを、戦争を仕掛けなかったらば国が亡びるのだから仕方が無かったと考える人は、73年前までに戦闘員育成教育を受けた方達の頭の中にこびりついている筈です。
 既に国という仕切り線は多くの所で切れています。人としてこの地球に如何に共存して生きていくかが問われている時代でしょう。
 この時代、居合を学ぶ事、更に武術として修錬する事は何なのか、得るものは何かこの道に踏み込んだ人が、一人一人の思いで考え、やるべき事を強い意志をもって貫き通す時代でしょう。付和雷同して安住の地を求めている様な、あるいは思い通りにならないのは社会や誰かさんによって虐げられているなどと暴力を振るうなどは、人頼りもいいとこです。
 此処までの曽田本その1は術理を語ってくれていました。武術の術理は日常生活を全うするにも良い導きを示してくれている事に思い至った方も多かったと思います。
 更にその先にあるものは、「武術は人間のコミュニケーションの最終手段である」事を思いながら、人殺しの武術を昇華出来ればと思いながら、残された曽田本その1を読み進んで行きます。
 

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2018年12月 2日 (日)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く29神心八相事2虎乱剱事

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
29、神心八相事
2虎乱剱事
 虎乱剱事山野幽谷ヲ通ルトキ虎狼抔或ハ手負獅子抔我ヲ目懸テカゝリ来ルトキ場ヲ見合セ前一方明テ三方フサガリタル穴ノ如クノ所二寄ッテ膝ヲ組刀ヲ抜キ切先ヲ向フ二シ右脇ヱ引付テ構ベシ猛獣飛デカゝレバ己ト貫カルゝ也柄を腹へ當テゝ真向フニ構ル事ナカレ猛獣ノイキヲイニテ腹へ強ク當リ不覚ト成ル也
読み及び読み解く
 虎乱剱の事(こらんけんのこと)、山野幽谷を通る時、虎狼などあるいは手負の獅子など我を目掛けて懸かり来る時、其の場の状況を見合せ、前一方が開いていて三方(右左後)が塞がっている穴の様な所に身を寄せて、膝を組んで刀を抜き、切先を前に向けて右脇に柄を引き寄せて構えるのである。
 猛獣が飛び懸って来れば自ずと貫かれるのである。柄を腹に当てゝ真前に切先を付けて構えてはならない。猛獣の勢いによって腹へ強く当たり不覚と成るものである。
 前方から飛び懸って来る相手への応じ方の一つとも広義に解釈できるかなとも取れます。
 日本には江戸時代でも虎、獅子の類は生存していないけれど、この例として凶暴な猛獣の攻撃に応じる方法を述べているのでしょう。
 狼も明治には耐えてしまったようですが、野犬はいたでしょう。
 譬えを猛獣としていますが、一人対大勢などの場合や、集団戦争の様な場合にも、この心得は持つべきものかも知れません。
 前を開けて一方からしか攻めてこれない場取りの重要さを上げて居ます。
 次に刀を前に向けて攻め込んで来ても、相手は多くの死傷者を出す状況と、我はいたずらに逃げ回るのでは逆に隙だらけとなって勝つ事は出来ないと教えているのでしょう。
 更に、敵の攻撃によって自損しない防御と攻撃が一体となった体勢を、低く座して切先を前に向け右脇に絞めて構える事を促しています。
 この場合の坐仕方は、右膝を立て左膝を地に着き踵を挙げた八文字、所謂体構えの立膝でしょう。
 集団での攻防でも背水の陣で逃げ道は無く、前方からしか攻撃を仕掛けて来られない場の取り方まで示しています。

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2018年11月30日 (金)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く29神心八相事1手裏剱

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
29、神心八相事
1手裏剣
○柄口六寸  敵ノ柄口也
○軍場太刀
○手裏剱
 手裏剱他流ニテ敵二刀ヲ投付タルヲ手裏剱ト云當流ニテ云所ハ別也敵ノ透間ヲ見テカタ手ヲハナシテ敵ノ面二突込ムナリ亦互二ユキ合二我ハ片手ヲハナシノリニテスグ二突込ム也躰ハ自然二ヒトヱ身二成ル也敵太刀ヲ下スト云へ共我太刀ニテカラリト避ル心持アリ鎗二突手ナシ剱術二切手ナシ云是也大イ事故二諸流共二突手ハ仕組二アラワサゞルナリ手裏剱ト軍場ノ剱似タレ共心二甚違フ
読み及び読み解く
 先ず「神心八相」を「神心入相」と読んでみました、意味は「神の心を相いれる事」でしょう。
 河野百錬先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「神心八相事」と書かれています。「かみごころはっそうのこと」と読んだのでしょう。曽田先生の癖字は、雰囲気が「八」と「入」が似ています。
 「入」は左の払いの上に右払いがすき間なく付いて乗っていますが、「八」は左払いの上に離れて右払いが書かれています。この写本では「入」にしか見えません。
 木村栄寿先生の昭和63年再版「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集及び業手付解説」では、居合兵法極意巻秘訣印可部に「神心八相事」とP82に読み取られて、河野先生同様にされています。
 細川家の原本から借用された伝書であれば、「八相」が正しい書写であるかも知れません。
 極意の秘訣ですから「神心及び釈迦の教えの事」を我が心に極意とすると意味を捉えるものだろうと思います。
 「八相」は、仏教用語にある「釈迦八相」を意味しています、それは釈迦の生涯を意味するもので以下の八相です。
①降兜卒(ごうとそつからこの世に下りて来る)
②託胎(受胎する)
③出胎(生れ出る) 
④出家(家を出る)
⑤降魔(悪魔を降伏)
⑥成道(正覚をひらく)
⑦転法輪
⑧入滅
 その外に八相は「威・厚・清・古・孤・薄・悪・俗」の八つの人相を表わすもので、剣術の八相の構えを想像するものでは無いでしょう。
 しかし「神心と八相の事」のままでは意味が通じません。答えも恐らく古伝を最後まで読み進み、何度も足踏みしながら、其の時の自分のレベルでしか理解し得ないかもしれません。
 土佐の居合には時々思いもよらぬ業名や呼称が付けられています。意味不明な符号程度に読み覚えても良いかも知れません。しかしそこに留まり、自分なりに読み解かなければ先師の教えには届かず、業の決まらない棒振りに明け暮れてしまうでしょう。
手裏剣を読み解く
 手裏剣は他流においては、敵に刀を投げつけたるを以って手裏剣と云う。当流にて云うところは別である。
 敵の構えの透間を見出だすや、両手で柄を握り 構えているその片手を放して敵の顔面に突き込むのである。
 亦、互に行き合う時に我は片手を放し、敵の打ち込む刀に乗って直ぐに突き込むのである。
体は自然と一重身になるものである。
 敵は太刀を振り下ろすと云えども我が太刀にてからりと避ける心持である。槍に突き手なし、剣術に切り手なしと云うのは是である。
 おおいこと故に諸流共に突き手は仕組(組太刀)の業技法に顕わしてはいないものである。手裏剣と軍場の剣とは似ているが其の心には甚だ違う。
 この文章から、動作を付けて業としての術が十分果たせるには、敵の打込みや槍などの突きなども、からりと避けて突き込むと書かれています。「からりと避ける」は「ひらりと避ける」では無さそうです。
 更に、突くには一重身になるのですから敵の打込みも突きも筋を入れ替えて突くのでしょう。
 その上 敵の、槍での突きも切らんとする 打込みも受け乍ら外してしまう極意とも取れます。それを「我は片手を放し「のり」にて直ぐに突き込む」の事が表している様です。
 神の御心や仏の心が無ければ出来るものでは無い、かも知れません。
 
 

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2018年11月28日 (水)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事11軍場ノ剱

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
11、軍場ノ剱
 軍場ノ剱鹿相成革具足ハ格別惣而甲冑ハ切ッテハ中々切レ難シ況ヤ心懸ノ武士ハ甲冑の札堅キヲ撰テ着スル故二切ッテハ却而マケヲ取ルベシ我モ能キ鍛ノ甲冑ニテ身ヲフサギタレバ少シモ恐無ク少々切ラレテ成共我ハ敵ノ面二突込ベシ相下シ二下ス所二而切先ハ面二残シスグ二突込ムベシ返々我ハ切ラレテ敵ヲバ突合点肝要也
読み及び読み解く
 軍場の剱(ぐんばのけん・いくさじょうのけん)とは、鹿にて相成る革具足は格別である。
 総じて甲冑は切っては中々切れ難し、況や心掛けの良い武士は、甲冑の札(さね)堅きを選びて着する故に、切っては却って負けを取るであろう。
 我も良き鍛えの甲冑にて身を塞いでいれば少しも恐れなく少々切られても、我は敵の面に突き込のである。
 双方とも刀を相下ろしに下す処、切先は打ち下ろした顔面に残し、すぐに敵の面に突き込むのが良い。
 返すがえす、我は切られて敵をば突くのである。合点する事肝要である。
 軍場の剱についての解説がやっとはっきり理解できました。甲冑は簡単には切れないものであるから、切ったんでは致命傷にならないから負けるよ、と云っています。
  鹿革で堅い札(さね)を使った甲冑を選んで着すこと、そうすれば、少々切られても恐れる事は無い。
 我は切らずに突くのが良いので、双方打ち下ろした時、我は下まで打ち下ろさずに顔面で留めて即座に突き込む事が肝要だ、合点しておくようにと教えています。
 是で命半ばで不慮の死を遂げない様に、如何に心がけるかの極意の数々の教えを終ります。
 一読して、「何だ迷信に過ぎないじゃないか」と、打ち捨てる程度のものとしておくには勿体ない気がして、如何に昔の人であっても、全ての人が証明のない事を信じたかは疑問でした。
 「おおらか」な気持ちで考えて見れば、昨日と違う今日の現象を運勢にこじつけて、為すべきことを全うするために、出がけに今一度心を落ち着かせて、これで良いのかと見直してみる心構えの大切さ、譬え迷信であろうといつもと違う現象に心を落ち着かせる事も極意と云うのかも知れません。
 
 
 

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2018年11月26日 (月)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事10神明剱

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
10神明剱
 神妙剱他流二テハ心ヲ明二〆敵ノ働ヲ見ヨト云トハ大二違ヘリ生死ノサカイナレバ平気トハ異リ然共忘ルマジキ事一ツ有リ則柄口六寸也柄口六寸実ハ抜口ノ事に非ス極意ニテ伝ル所ハ敵ノ柄口六寸也カマヱハ如何ニモ有レ敵ト我ト互二打下ロスカシラニテ只我ハ一図二敵ノ柄二打込也先身ヲ敵二ウマウマト振フテ右ノ事ヲ行フ事秘事也是神明剱也
読み及び読み解く
 神明剱について、神妙剱と云ったり神明鏡と云ったりその区別が明確になされているのか同じ事を云っているのかよくわからない処ですが、読み込んでみます。
 神妙剱は他流にては心を明らかにして(しめ)敵の働きを見よと云う、其れとは大いに異なり当流では、生死の境なれば平気とは異なり、然れども忘れる事があってはならない事が一つ有る。
 則ち柄口六寸である。柄口六寸実は刀の抜き口の事では無い。極意によって伝えるところは敵の柄口六寸である。
 構えは如何に有っても、敵と我と互に打ち下す頭にて只我は一図に敵の柄に打ち込むのである。
 先ず、身を敵にうまうまと振る舞い右の柄口六寸の事を行う事は秘事である。是は神明剱である。
 神妙剱は他流では心を明らかにして敵の働きを見て応じるのだと云います。一方当流は、そんな心を明らかになどと云っても生死の境なので平気である筈はない、心は暗闇だと云います。そんな状況でも忘れてならないのは、双方打ち下ろす頭に、我は一図に敵の柄に打ち込むのだと云います。それには、我が身を「只一打ちと打込ます様に振る舞い」我は敵の柄に一図に打ち込むのだとしています。それは秘事であり、神明剱だと云うのです。此処では神明剱と神妙剣は異なる様に思えます。
 あまり拘らずに先に進んでみましょう。少しずつ見えて来るかも知れません。それにしても不明瞭な言い回しです。
 
 

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2018年11月24日 (土)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事9打太刀の心

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
9打太刀の心
 柄口六寸ノ勝行フ心持常ノ修行二習覚ニハ手近云へバ仕組ノ打太刀ノ心二ナルベシ打太刀ヨリ遣方二非ヲ入レヨク見ユル者也故二カサ二フルマウ事大事也カサ二掛ルノ気ハツカイ形ノ気トナルナリ工夫肝要ナリ心明鏡ノ事
読み及び読み解く
 柄口六寸の勝を行う心持ちは、常の修行で習い覚えるには、手近の事で云えば、仕組み(組太刀)の打太刀の心になるべし。打太刀より遣方に非(隙を?)を入れよく見えるものである。それ故に嵩に振る舞う事大事である、嵩に掛かるの気は遣い方(遣り方)の気となるので工夫肝要である。心明鏡の事である。
 さてこの読み下しでは、厄介です。以下の様に読み解いてみました。
 柄口六寸の勝を取るには、それをふだんの修行で習い覚えるには組太刀の打太刀の心になって遣方に打ち込みやすい非の打ちどころが有ると思わせることである。それ故に嵩に懸かっていく様に振る舞えば、遣方はここぞとばかりに嵩に懸かって来る。そこを逆に柄口六寸に取り勝事で心明鏡のことである。
 雷電刀の極意、「勝事無疵に勝と思うべからず我が身を先ず土壇となして後自然に勝ありその勝つ所は拳也」であれば、非の打ちどころを見せて打込んで来る処に自然に勝つ事を示唆して居ると考えます。
 まさに柳生新陰流の活人剣、剣術の極意でしょう。

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2018年11月22日 (木)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事8柄口六寸

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
8柄口六寸
 雷電剱諸流ノ剱術ノ教皆以我心ヲ明カ二シテ勝ヲ取事ヲ肝要トス當流ノ極意ハ表裏ノ違也敵二向カヱバ如何成人モ心ハクラ闇ト成ルナリ其マホウクラヤミ(真方暗闇 曽田メモ)ノ所ニテ一ツ行フベキ事有則柄口六寸ノ勝也是當流ノ極意也雷電刀ハ惣名二而変而ハ神妙剱トナリ軍場ノ太刀ト成ルナリ
読み及び読み解く
 この項は、前項と同じようなものですが、異なるのは、諸流の剣術は皆、心を明らかにして勝を取るのを肝要としているが、当流は、敵に向かえば、誰でも心は暗闇になるのである、その明暗の表裏の違いである。
 其の真っ暗闇の所で、一つ行うべき事は、則ち柄口六寸の勝、敵の拳に勝つものである。 
 是は当流の極意である、雷電刀は居合の業の総名であって、変じて神妙剱となり軍場ノ太刀となるのである。
 柄口六寸は敵の二星である、柄を握る拳に勝つ事である、と前回解説しました。同様の極意の記述ですが、此処で新たに述べられているのは、他流では敵と相対しても、心を明るく斬られるなど後向きに思わず勝つことが肝要と教えている。それに引き換え当流は敵と対すれば命を無くす事も有ろうと真っ暗になってしまう。と真逆の心理から勝を取るものだと云うのです。
 そのポイントは敵の打ち込んで来る拳に勝つ事なのだと云う事です。恐らくこの教えは大森六郎左衛門の真陰流の教えであろうと思います。
 真陰流は上泉伊勢守信綱によるものでしょう。大森六郎左衛門の真陰流が如何様の物であったかは不明ですが、上泉伊勢守信綱の新陰流でしょう。
 神傳流秘書の大森流居合之事では、前え書に「此の居合と申すは大森六郎左衛門の流也 英信に格段意味相違無き故に話して守政翁(第9代林六郎左衛門守政)之を入れ候。六郎左衛門は守政先生剣術の師也。真陰流也、上泉伊勢守信綱の古流五本の仕形(組太刀)有りと言う」とされています。大森流あるいは無双直伝英信流正座の部は新陰流から大森六郎左衛門が創作したものでしょう。現代の新陰流にはそれらしき形跡は見られませんが、初期の大森流には新陰流と交わるものがあったかもしれません。
 上泉伊勢守信綱が新陰流を創始したのは天文十年代(1541~1550年)と言われます。
 柳生新陰流の柳生宗厳による新陰流截相口伝書事は慶長8年1603年の事と言われます。
 この土佐の居合の古伝神傳流秘書は文政二年1819年に山川幸雅によって書き写されたもので元の原本は無いものと思います。第9代の伝えたものを第10代が書き記したと思われ、1750年以降のものと推察しています。新陰流創設からの200年、柳生新陰流の伝書から150年以上後のものですから、元になったものが何なのかすらわからないと云えます。
 大森六郎左衛門の真陰流が何かはわからないでしょう。しかし土佐の居合の古伝の至る所に現代でも読む事や学ぶ事が出来る新陰流が見え隠れするのに驚いています。

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2018年11月20日 (火)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事7雷電刀

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
7雷電刀
 雷電刀ハ惣名也則柄口六寸也変而神妙剱ト成戦場之剱ト成智仁勇備ラザレハ其事(業)行フ事不能智仁勇ノ三徳有ト云へ共眼心足能ク利サレバ勝ヲ取ル事ナラス故二如図配當セル也
 読み及び読み解く
 雷電刀は惣(総)名である、則ち柄口六寸である。変じて神妙剱となる。戦場の剱となる。智仁勇備わざればその事(業)行う事能わず。
 智仁勇の三徳有りと云え共眼心足能く利(キメ 曽田メモ)ざれば勝を取る事ならず、故に図の如く配当せる也。
 この一文は全くこのままでは意味不明の教えであって、失念したまま消えてしまうと思われます。
 雷電刀は総じて居合兵法を指すもので、それは柄口六寸之事である。この事は英信流居合目録秘訣の外之物ノ大事述べられている事から、当流の秘中の秘で「夢うっつの如くの所よりひらりと勝事有、其の勝つ事無疵に勝と思うべからず。我が身を先ず土壇となして後、自然に勝ち有り、其の勝つ所は敵の拳也」と示されています。
 現代居合では拳に勝つ「柄口六寸」の極意は、まず聞かされたことも、業として見せられたことも、当然指導された事も無いものです。
 組太刀の「詰合」は一本目出合は「楽々居合膝に座したる時相手左足を引き下へ抜き付けるを我も左の足を引きて虎の一足の如く抜いて留め・・」と相手の足への斬り込みを我は受けていますが、この可笑しな抜き合わせは一本目から「四本目鱗形」まで続きます。
 「詰合は二星につづまる敵の拳也二星一文字と云う時は敵の拳を抜払う事也惣じて拳を勝事極意也」とされ、詰合の稽古は手附に拘らず奥へ奥へと踏み込むことを示唆しています。
*
Img_1593
添付写真の図は曽田本に付されたものです。
左から(上から)
観音・弁財天・勢至 是れ三つは尊き具足也
智・仁・勇
雷電剱・神妙剣・軍馬剱
眼・心・足
 

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2018年11月18日 (日)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事6脇道を行

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
6脇道を行
 亦曰難二逢事ヲ知ル事ハ前二云フ也知テ行カズシテ不叶事有其時ハ道ヲカヱ気ヲ転而可行気転スル時ハ自然二難ヲモ避ル事有ルベシ道ヲカユルト云フハ本道ヲ行所ヲ行カス〆脇ノ小道ヲ行クノ類ナリ
読み及び読み解く
 亦 曰く 難に遭う事を知る事は前に述べて来ているのである。知っても行かなければならない事がある其の時は、道を変え気を転じて行くのである。
 気を転ずる時は自然に難も避ける事があるであろう。
 道を変えると云う事は本道を行かずして脇の小道を行くような類の事である。
 ここの本道と云う意味は、一般的な人の行き交う道、あるいは目的地に至る近道などと考えられます。難に遭う事がわかったならば、今行くはずの道を避けて脇ノ小道を行けばよい。
 それには気を変えるべきだ、そうすれば難も自然に消えてしまう。
 そうかも知れません、一度この道と思うと何が何でも其処から離れようとしないのも人の常の様です。飽きっぽいとか、恩知らずとか世間体が気になってしまうものです。
 気を変えて、違う脇道から目的地に行く方が自分には合っているかもしれません。高い金を払って有名な師匠に付くよりも、安くとも名を知られて居なくとも、本物の師匠は別に居るかもしれません。道を選ぶことが出来るのは自分です。師を選ぶことが出来るのも自分です。
 到達するために、無駄な時間や金をかけ、ろくでもない師とも言えないぼんくらにかかずらわっていてもだめはダメでしょう。変わるのも、勇気のいる事です。目的は何であったかを忘れてしがみつくのは、居場所が無いと不安だからに過ぎないのです。初心の目的は何だったのでしょう。
 少々脇道にそれましたが、目的を達するには、難がある事がわかったならば別の路から目的地へ向かいやるべき事を達成しましょうと、極意はいっている筈です。 
 

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2018年11月16日 (金)

曽田本その1の7居合兵法極意巻秘訣読み解く28中夭之大事5心ノ落カセ様

曽田本その1
7.居合兵法極意巻秘訣読み解く
28、中夭之大事
5心ノ落カセ様
 亦曰心ノ落カセ様二習有先口ヲフサギ噛ヲ呑ミ込ミテ心ヲ静ムベシ亦ハ小用ヲ達ス可シ能ク心ヲチツクモノ也
読み及び読み解く
 亦いわく心の落ち着かせ様に習い有り先ず口を塞ぎ噛む(唾を?)呑み込みて心を静む(沈む)べし 亦は小用を達す(たす)べし能く心落ち着くもの也
 行けば死ぬぞと脅されたので、心を落ち着かせなければ役目を果たせない、其処で心を落ち着かせる方法が述べられています。「心ノ落カセ」と書いてありますが「心の落ち着かせ」と読んでおきます。古文書は抜けが有ったりしますが「おおらかに」。
 亦曰く 心の落ち着かせの方法で習った方法がある。先ず口を閉じて奥歯をしっかりと噛む、噛んだら呑み込んで、高ぶった心を静めるのである。
 是で心が落ち着くのか解りませんが、気を紛らすには手っ取り早そうです。信じれば可能な事かも知れません。
 亦は、落ち着きが亡くなった場合は、小用をすれば心は落ち着くものである、とも言っています。この方が、自然に行われていた事かも知れません。心を落ち着かせるために小用をするのか、心が騒いで小用を催すのか経験のありそうなことです。
 
 

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