あれこれ(鶏寒上樹鴨寒下水より)
先日たまたま一人稽古の際その方にお会いしました。稽古をしながら、業の切れ間にそれと無く拝見していました。
今日一人の女剣士が旅立って行きました。
この春大学を卒業して、専攻の学問をもっと深く学びたいと北への旅立ちです。
春は別れと出会いの季節だったと、久しぶりに思い出しました。
「居合は?」
「続けたい、向うに稽古する処を探します。今の私には居合は心のより所です」
居合をこよなく愛する女剣士がここにも居ました。
是から、いろんな出会いがあって、磨き上げられて行くのでしょう。
お別れの演武をお願いして拝見します。
少しも臆する振りもせず、いたずらに気を入れる事もなく、静かに抜く居合にしばし見とれていました。
きっと、新しい所への膨らんでいく夢の数々、毎週通った道場の事々が一振り一振りに思い出されているのかも知れません。
こんな格言を思い出しています「思いの種を蒔き、行動を刈り取る、行動の種を蒔き、習慣を刈り取る、習慣の種を蒔き、人格を刈り取る、人格の種を蒔き、運命を刈り取る」
居合は如何に劇しい業務にある人でも容易に出来るので練習時間はと云えば僅かに五分間の短時間に心身綿の如く疲れ、加之其短時間の運動は身体を最も均斉的に発達せしむるのであります。又白刃を振るときは自ら強烈なる男性的の気力も練れ、其上に相手いらずで、場所は座敷で整備の如きはなんにもいらない実に経済的であります。(大江・堀田共著剣道手ほどきより)
前に、書道でも武道でも本当に好きならば、人間関係でスピンアウトするのは変だと書きました。
素晴らしい剣捌きでその技の切れは見るものを魅了します。
その技への探求心は、なまじの先輩剣士ではたじたじです。理屈よりも身体で覚えるタイプの先輩は腹を立てて遠のいてしまいます。
そして、自分の世界に篭っていつの間にか一人ぼっちの自分になっています。
道を求めると言う事は、そういうものかもしれません。
中途半端に稽古してこなかったために蒔いた種が芽を吹き出し、覆いかぶさって来ているのでしょう。
稽古を遠ざかってみても、先輩をこき下ろしても、じれてみても解決しないでしょう。
更に烈しく厳しい稽古に打ち込むしか無いでしょう。それは孤独です。
「武道」を志すと思った自分は錯覚で、「上手いですね、凄いですね」と、おだてられる事が嬉しかった甘えん坊な「女の子」に過ぎなかったのでしょうか。
この時代、流派の掟を継承しその真諦に触れることは「かっこいいやってみたい」の願望では難しそうです。
家族の愛に見守られながら、生涯を習い・稽古・工夫の終わり無き道を歩む、求道の女性の剣士は夢でしょうか。
「入無窮之門宥遊無極之野」無窮の門に入りて以って無極の野に遊ぶ(荘子外篇)
2,009年11月9日に書き込んだものです、残念ながらこの女剣士は退会してしまいました。
点取り虫の居合に片寄った為に自滅したと思います。
何処かで再び剣を握って現れる事を願っています。
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