曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く2居合兵法伝来

2016年11月 1日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く2居合兵法伝来

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
2、居合兵法伝来
居合兵法伝来
林崎神助重信ー田宮平兵衛業正ー長野無楽入道槿露斎ー百々軍兵衛光重ー蟻川正左衛門宗績ー萬野団右衛門信貞(定)ー長谷川主税之助英信ー荒井兵作信定(勢哲清信)-林六大夫守政
大黒元右衛門清勝ー松吉左衛門久盛ー山川久蔵幸雅ー(下村茂市定-行宗藤原貞義)-次 曽田虎彦
 
目録には無雙神傳英信流居合兵法とあり 是は本重信流と言べき筈なれとも長谷川氏は後の達人なる故之も称して英信流と揚られたる由也
読み解く
 居合兵法が伝来する道統が書かれています。
 始祖は林崎神助重信と書かれています。林崎甚助重信の間違いなのか敢えて神助にしたのか分かりません。
 以後の土佐に於ける根元之巻は始祖を林崎神助重信として筆頭に上げています。戦後の根元之巻は林崎甚助重信になっていますが、変えた理由もなく不思議なものです。

 9番目の林六太夫守政の後は林安太夫政詡のはずですが、ここでは抜けています。おそらくこの居合兵法伝来は林安太夫政詡の執筆に成ると思われます。
 従って林六太夫までしか元の伝来は書かれていなかったと思われます。
 大黒元右衛門勝清以降は、神傳流秘書の書写をした山川久蔵幸雅が追記したか、曽田先生が追記したのでしょう。括弧内は明らかに曽田先生に依るのでしょう。

 目録には「無双神伝英信流居合兵法」とあるが、是は本来重信流と言うべき筈のものであるが、長谷川英信は林崎神助重信以降の達人なので、英信流とも称する。」とされています。
 奥羽地方に残された根元之巻では林崎流、林崎夢想流、林崎新夢想流の流名が一般的です。重信という名を流名に使っていません。

 それに根元之巻にあるように、林崎明神の霊夢によって居合の妙を得たということですから、「無双神伝・・」の冠は少々おかしいでしょう。「夢想神伝英信流」であるはずです。
・ 
 百々軍兵衛光重、蟻川正左衛門宗続、萬野團右衛門信定については、資料がありませんが、長谷川主税助英信、荒井勢哲清信は北信濃の松代藩にその足跡がみられるレポートが南山大学の榎本鐘司先生から上げられています。それによると「無双直伝流」として伝承された様にあります。

 江戸詰めの林六太夫が荒井勢哲に「無双直伝流」を習った可能性は時代の重なりからありうるかも知れません。
 無双直伝流の「居合根元之序」は土佐のものに近いものです。ただし霊夢を受けたのは土佐における林崎神助重信ではなく林崎甚助重信です。

 神助と甚助については単なる間違いか、意図的なものなのかわかりませんが、この件は興味のある方がさらに突っ込んで研究されることをお願いしたいと思います。

 土佐の林六太夫以後の居合はこの神傳流秘書にあるもので藩主山内家に守られてきたものでしょう。
 現在の無双直伝英信流は、林六大夫によって土佐に持ち込まれ、醸成され林崎甚助重信の林崎流でも無く、大森六郎左衛門の大森流と長谷川英信の英信流として発展を遂げたものなのでしょう。
 そして、その後も進化しつつ、明治になって一旦絶え絶えになって第17代大江正路先生の改変したと言われる居合が始まり、其れを伝承しつつ無双直伝英信流第20代河野百錬先生の居合によって少しずつずれて来ている様に思います。それは、足捌き、体捌きに在る様に思うのです。古伝は飽くまで武術としての闘争の術です。大江先生は其の事を残し乍ら居合文化の伝承に力を入れられたのでしょう。
 河野先生は、現代風の竹刀剣道との互換性を取り入れられた様に思います。

 土佐の居合を習い中山博道先生は、後の夢想神傳流の基礎を構築しています。此の中山博道先生の居合の元は現在一般に云われている下村派細川義昌先生に依るものでは無く、谷村派第16代五藤正亮先生の門下森本兎久身先生の居合の筈です。
 それは、古伝との対比をして見ますと十分認識できるものです。谷村派と云われる第17代大江正路先生の居合は下村派の下村茂市直伝です。下村茂市亡き後に谷村派第16代五藤正亮先生に師事した様に言われていますが土佐における指導者の地位を受け継いだに過ぎず谷村派に変わったなどの事は疑問です。

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