曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取

2017年4月17日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取10水月

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
10)十本目水月
水月
 相手高山我切先を向へさし付行時八相に拂ふを外し拳へ打込ミ勝
以上十本
読み
水月(すいげつ)
 相手高山 我切先を向へさし付け行く時 八相に拂ふを外し拳へ打込み勝つ
以上十本

読み解く
 相手は上段に構え、我は「切先を向へさし付け」ですから正眼に構え切先は相手の喉元又は眉間でしょう。
 正眼に構えスカスカと間境を越すや、切っ先を右に振り左拳に誘い相手我が左小手に八相に払って来るのを、右足を斜め前に踏込み同時に左拳を右肘に引付これを外すや透かさず相手の拳に打ち込み左足を踏み込み詰める。

 柳生新陰流の「くねりうち」をやってみましたが、ここは相手が我が正眼に構えた刀を上段から八相に払って来るのでこれを、刀を上に外し踏み込んで相手の拳に打ち込む。というセオリー通りの方法から研究していけばいいと思います。
 「八相に払う」は何処を八相に払うかは指定されていません。刀など払ってもチャンバラでは無いので意味は無いでしょう、一刀の下に我が戦力を奪える処へダイレクトに打ち込まれるのでなければ此の業は活きて来ません。従って我が拳に打ち込ませる技も学ぶことになります。

 政岡先生は、相手上段、我は正眼に差し出して行く。相手斜めに我が刀を払って来るのを切っ先を下げて外し、ふみこんで小手を取る。

*これは竹刀剣道の常道でしょう。
 相手も太刀で、我が太刀を払う様な方法はどうも好きになれません。
 相手に我が身を土壇となして撃ち込ませそれを外して勝は土佐の居合の根底に流れている様に思っていますがいかがでしょう。

 以上十本

 以上十本で大剣取を終わります。
 太刀打之事十本、詰合十本、大小詰八本、大小立詰七本、大剣取十本、合計四十五本の仕組(組太刀)は現代居合では指導する人も無く、稽古する人も疎らです。
 心ある方は何人かで研究しあって、この「思いつくままに」の仕方を完成させていただければと思います。

 第17代大江宗家の残された形のみに固執し、古伝の形を遺棄する方達も居られます。
 然しその方達は土佐の居合が総合武術であったことを忘れ、他流の形や動作をいかにもそれらしく取り込んでいたりします。
 大江先生の教えだけでは不足と考えられ、総合武術としての修行を目指すとする事には異論などあろうはずは有りません、然し元々あったものを学ぶ事を拒否したのでは先師を蔑ろにする事で恥とすべきものでしょう。
 秘事と称して伝書を公にしてこなかったのか、伝授された方の子孫に其の素養が無かったかは知りません。

 この時代居合に依って人を殺傷するなど論外の事です。日夜弛まず抜きつけていく修行によって己を見つめ直し、あるべき姿を描き出し、其れに向って目指す事が究極の目的でしょう。

 誤りと気づく事があれば素直に直せばよいだけです。いたずらに立場を固執すれば道を外してしまいます。

 弟子を持ち師匠と云われる先生方は文化の伝承を担っていると認識し、たとえそれが己の直近の先師が持ちこんだものであっても、明らかに他流の形や動作であれば、見直して常に古伝と照らした上で古伝に返るべきものと思います。

 古伝は大らかです。自流の古伝を伝える者が無ければ、他流から学んだものを工夫して古伝の大らかな手附から業技法をよみがえらせる事も許されるでしょう。
 現代まで継承される流派は多くは体系的にも充分研究されています。我が国の伝統文化そのものです。
 それが現代風に変化していても決して間違いではない筈です。
 そんな研究を弟子達とフランクに語り合え、稽古する様にならなければこの道は廃れて行くでしょう。
 「俺の習ったものと違う」など当たり前のことなのに、師匠の教えしかやらないなまけものや、不器用な者も所属年数が来れば段位も上がり得々としています。
 あまり意味の無い事で、へぼに任せれば道は外れてしまいます。
 優れた人には自然に人は学びに来るものです。実力がなくとも長年の功績による段位が高く、所属年数が長いだけで道場を任せれば流派は滅び去っていくでしょう。

 個々の指導者に頼らず、統一理論を以て「ルールやかたち」を統一してしまっては、武術を踊りとなしてしまい武的演舞を良しとして伝統文化の破壊ともなりうるものです。一部の管理者によって本質を誤る事も有りうるはずです。

 現代は、この神傳流秘書の様に、誰でもに公開されています。流派の掟は一部の人に隠されたものでは無く、志す万人に公開されて行かないと消えてしまいます。

 一対一の武術など大量殺戮兵器の前に消えてしまっても良いと思われる程に武器の開発が進んでいます。そんな中では日本の武術は意味の無いものと思えるかも知れません。
 剣術から派生していく武術は相手の害意に応じる仕方の手引から始まり、絶えざる修練によって何時如何なる状況でも即座に応じる事が出来る心と柔軟な身体を学ぶものであろうと思うのです。

 古伝などに興味は無いと嘯く古参の人がいます。稽古の度に前に出て、如何にも模範と言う様に得々と演じるのですが何の感動も覚えないのは何故でしょう。

 昨日も今日も何の進化も無い心も見えないかたちだけものです。講習会に行ってきた説明をされても「かたち」ばかりです、その人から何を学べばいいのでしょう。
 審査や大会の演武として教えられただけのことしか出来ない棒振りの弱さが演舞となって出てしまうからでしょう。そこまでです。
 真摯に取り組んだ者だけに武術は微笑みかけてくれると信じています。

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2017年4月15日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取9雷電

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
9)九本目雷電
雷電
 相手高山我左の脇へ切先を上構へ行時打込む処を留勝又相手車二かまへる時ハ我切先を下げて行也
読み
雷電(らいでん)
 相手高山 我左の脇へ切先を上(へ)構え行く時 打ち込む処を留め勝つ 又 相手車に構える時は切先を下げて行く也

読み解く
 この雷電も抜けだらけで困りました。
 相手は上段に構える、我は「左の脇へ切先を上構え行」、この構えは左青眼に構え行くとも取れます。この場合は相手が真向に打ち込んで来るのを、右足を踏み込み受けるや撥ね上げて相手の面に打込み勝つ。

 或は左手に柄を持ち左腰に付け右手を切っ先に添えて切先を上げ、スカスカと間境を越し、相手が真向に打ち込んで来るのを、左手を上げ右手をやや低く顔前頭上に相手の刀を十文字に受け、体を右入り身となって刀を擦り落とし詰める。

 次の「又相手車にかまえる時は我切先を下げて行也」です。相手は車に構え待ちかけています。
 我は下段に構えスカスカと間境を越します。相手車から我が左小手に打ち込んで来るを左手を右腕に引付相手の打ち込む刀を外し、相手の流れる小手に打ち勝。

 政岡先生は「上段に対しては右足を引いて体を開き物打の峰に左手をかけ右拳を右腰に当て剣尖を高く構。
 車に対しては左足をふみ出して刀を水平に構える意ならん。尚「打込処を留勝」となっているが六本目の如く右足をふみ込んで額前で受止め直ちに左足をふみ込みつつ右にすり落として左足からふみ込んで水月を突くべきである。

 「車に対しては」左足を前にして切先を下げ刀を水平に構え、相手が車から上段に振り冠って真向に打って来るのを六本目の栄目の様に額前で受止め右に摺り落とし水月を突く。というのです。車の構えから上段に振り冠って真向に打ち込むのは明治以降の竹刀剣道の方法です。余り参考にしたい方法では無いでしょう。車から打ち込む方法は幾つにも有る筈です。
我が構えの隙は何処か、其処へ誘いたいものです。

 

 

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2017年4月13日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取8橇橋

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
8)八本目橇橋
橇橋
 相手高山我も高山尓て懸る場合尓て車二きっしりとしたる時向の眉間へ切先をさし付手本を上突込ミ勝
読み
橇橋(そりはし)
 相手高山我も高山にて懸かる場合にて 車にきっしりとしたる時 向うの眉間へ切先を指し付け手元を上げ突き込み勝つ

読み解く
 この橇橋は業名も不思議ですが、文章の解読は難解です。
 相手も上段、我も上段にてスカスカと間境に至り、懸っていく場合「車にきっしりとしたる」のは相手か我か解らないのです。
 先ず相手が上段から車に構えを替えた時、我は相手の眉間に上段から切先をさし付け手もとを上げて突き込み勝。
 是では相手は何故車に構えを取ったのか相手の意図が読めません。下手に突き込めば踏み込まれて一刀両断で小手を打たれそうです。

 そこで、車にきっしりとするのは我として見ます。双方上段に構えスカスカと間境に至り我は、車に構える、相手左肩に上段から打込んで来るのを、腰を左に捻って外すと同時に相手の眉間に切先をさし付け手元を上げ突き込み勝。この方がすっきりします。柳生新陰流の一刀両断かとも思えます。

 それでは「車にきっしりとしたる時」が何となくぼけますから、双方車に構え、相手より我が右肩に打ち込んで来るのもいいでしょう。

 いずれにしても抜けだらけの手附けですから、どちらでも勝てる方法を稽古していきます。

 政岡先生は、互いに上段で間に入り、相手引いて車にとるところ、我は透かさず眉間に突き込んで勝。

 相手車に取らんと足を踏み替えんとするを機に、我は剣先を下げて正眼に構え踏み込んで眉間に突き込んで勝でしょう。
 他流の技を心得ていれば、返し技も出てきそうです。申し合わせの形打に終わったのでは古伝が泣きそうです。かと言って独創も憚られます。

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2017年4月11日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取7山風

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
7)七本目山風
山風
 相手高山我切先をさけ前二構へ行時相手打込を左右いずれなり共請請流し拳へ勝
読み
山風(やまかぜ)
 相手高山 我れ切先を下げ前に構え行く時 相手打込むを左右何れなりとも 請け請け流し拳へ勝つ
読み解く
 相手上段、我は「切先を下げ」ですから、下段に構えスカスカと間境を越す、相手は上段から真向に打ち込んで来る、或は右面、左面に打込んで来る、我は左足を左前に踏込み、柄を左に右肩を覆う様に請け留め請け流し拳へ勝。或は右足を右斜め前に踏込み柄を右に左肩を覆う様に請け留め請け流し拳へ勝つ。 
 
 上段からの打ち込みですから真向、左面、右面いずれでも「請請流し」の文言に従って、顔前頭上で十文字に請け留めて、体を躱して摺り落し相手の拳に打ち込み勝。
 十文字請けは真向及び左面へ切込まれても切先を左で請け右に体を躱して打込む、右面の場合は切先を右に十文字に請け体を左に躱して打込む。

 上段からの左右の打ち込みを見分けられない様では応じられず、切先左のみの「請請流す」では不都合も有りそうです。
 出足が右だろうと左だろうと左右いずれにも応じられるようになりたいものです。
 体捌きとそれに付随する足捌きのよい稽古です。
 「請請流し拳へ勝つ」にポイントがある業です。

 真向打ちを誘う様に下段から切先をすっと僅かに上げるのも有でしょう。
 下段からの請け流しは、顔前頭上で正座の部の受流の様にしてみましたが、ここにも幾つもの工夫があってしかるべきものです。例えば、切先を突き上げる様にして請け請け流す。
現代居合の不十分な処を補う良い業です。そして相手の「拳へ勝」ですから、相手は流されて打たしてくれる首や肩ではありません。

 政岡先生は「左右何れなり共請請流し」を左右の足捌きにあてておられます。
「下段に構えて間に入る時、右足の出た時打下されたなら左足を左前にふみ込んで右に請け流し、左足の出た時打下されたなら右足を右前にふみ込んで左に請流すべきならん」
とされています。

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2017年4月 9日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取6栄月

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
6)六本目栄月
栄月
相手高山我切先を左へさし胸へ横耳當かまへ行時相手打込を切先に手を添へ請入る
読み
栄月(えいげつ)
相手高山 我れ切先を左へ指し 胸へ横に当て構え行く時 相手打込むを 切先に手を添え 請け入る

読み解く
 栄月とは何とも風流な業名です。
 相手は上段に振り冠り、我は柄を右に、切先を左に、左手で刀の物打ち下に添え、刀の棟を胸に宛て、スカスカと間境を越し、「ふっと」止まるや、相手真向に打ち込んで来るのを両手を上げ顔前頭上に刃を上にして左足を踏込み十文字に請ける。即座に入り身となって相手の刀を右に摺り落とし、左足を踏み込んで相手喉に突き込む。

 是は面白い業です。刀を抜き出して切先を左に向け横にして左手で刀身をささえて刃を上に向けてスカスカ歩み行くのでしょう。
 我の異様な接近に相手がオヤと思う処をチョット立ち止まって相手の打ち気を誘ってみました。
 十文字請けからの摺り落としは太刀打之事や詰合ですでに稽古済みです。

 政岡先生は無双直伝英信流居合兵法地之巻では「栄目」と業名をあげておられますが之は誤植で「栄月」に訂正されています。
 「左足をふみ出して正面向きのまま柄にかけた右手は腹の右前、物打の峯に添えた左手は腹の左前で、刀は水月の前で刃は前に向き、両前膊は水平に構える。間に入るや正面に切り下されたので額前で十文字に受け止める(刃は上向く)直ちに左足をふみ込みつゝ右にすり落し、左足からふみ込んで水月を突く。」

 この業は、どうやら柳生新陰流の九箇之太刀の「捷径」の様です。

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2017年4月 7日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取5栄眼

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
5)五本目栄眼
従是相寸
栄眼
 相手高山我は左青眼二構へる時相手横耳拂ふを放して拳へ勝
読み
従是相寸(これよりあいすん)
栄眼(えいがん)
 相手高山 我は左青眼に構える時 相手横に拂うを放して拳へ勝
読み解く
 是より相寸、ですから我も相手も太刀を持っての攻防です。
 相手高山ですから上段に構えています。この上段は、太刀を頭上に45度に高く構え、左拳は頭上、又は顔前頭上(額の上)でしょう。顔前頭上は竹刀剣術の統一方法の構えでしょう。

 我は左青眼ですから、太刀の切っ先を相手の左目に付け、又は相手の上段に構えた左肘につけ右足前にしてやや半身に構えます。
*
左青眼・右青眼の定義は、曽田本その1の2英信流目録の小太刀之位を参考にします。
 左青眼:敵の左眼へ切先を付ける、この場合右足を前
 右青眼:敵の右眼へ切先を付ける、この場合左足を前

  高野佐三郎先生の「剣道」に従えば、中青眼が基本で、平青眼が左青眼でしょう。右足前の上段を右上段、左足前の上段を左上段と定義されています。それに従えば古伝の左青眼は右青眼となります。

 此処では、英信流目録を優先します。
 相手上段、我は左青眼に構えスカスカと間に入るや「相手横に払う」、さて相手は我のどこを横に払ってくるかは何も書かれていません。
 左青眼に構えた太刀かも知れません、右拳かも、左拳かも知れません。あるいは肩かもしれません。

 上段から「横に払う」は動作が大きくなりますから、相手も工夫が必要です。相手は上段ですから左右いずれでも打ち下ろせます。

 我は左青眼ですから剣先は右です。左拳が相手に誘う様にあるのですが、初めは、相手は八相から横に我が太刀を払ってくるのを太刀を上に外し即座に相手の拳に打ち込む。

 相手が、左拳を払って来る場合は、左拳を上げ相手太刀をはずすと同時に我が太刀先を下げて相手の拳に切り込む。是は柳生新陰流の三学円之太刀の「半開半向」の「ほうり込み」が使えます。

 政岡先生は相手が太刀を八相から横に払って来るのを切っ先を下に外し、流れた相手の拳に切っ先を挙げて打ち込む。
 太刀を下げて外した場合、上に戻してから、外された相手の拳に打ち込むのは拍子が遅れます、上に上げて下すだけで充分な筈です。

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2017年4月 5日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取4鉄石

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
四本目鉄石
鉄石
 是も前の如く坐し是は廻り寄りて切らんと心得て抜かざる時行なり二小太刀尓て地をハタと叩いて気をうばうて入りてさ春
従是相寸
読み
鉄石(てっせき・てついし?)
 是も前の如く坐し 是は 廻り寄りて 切らんと心得て抜かざる時 行くなりに小太刀にて地をハタと叩いて 気を奪いて 入りて刺す
是れより相寸
読み解く
 是も相手は「前の如く坐し」ですから居合膝に坐す処、我が「廻り寄りて」は、めぐりよりて、めぐってきて、相手はそばに寄ってくれば切ろうとしているが抜こうとしない時、我は小太刀を下げてスカスカと間境に歩み行き、体を低め、小太刀で地をハタと叩き相手の気を奪い、相手が抜こうと抜くまいと体を低めたまま中に入り、相手の柄手を制して刺す。

 いささか、文章が解りずらいのですが、抜こうとしているが、抜く気があっても抜こうとしない相手の気を奪って付け込んで刺す、という業です。
 仕組の稽古でこの気を出せるかは難しいでしょうが、業に成りきって稽古する事も大切な事だろうと思います。

 政岡先生は、相手が抜かないので抜刀して地面をはたと打つと抜きはじめる、そこを飛び込んで右手をおしあげてさす。としています。

 「従是相寸」これより相寸
四本目までは相手は太刀我は小太刀での攻防でした。五本目以降は相寸です。双方太刀を帯して行います。

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2017年4月 3日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取3外石

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
3)三本目外石
外石
 是無剣の如く放したる時又右より打を留入りてさ春
読み
外石(がいせき・そといし?)
 是 無剣の如く放したる時 又 右より打つを留め入りて刺す
無剣 参考
 相手居合膝二坐し居る処へ小太刀をさけかくる相手抜打つを放し入りて刺す

読み解く
 これは、奥居合居業の一本目現代居合の「霞」古伝の抜刀心持之事の一本目「向払」に応じるものでしょう。

 相手居合膝に座す処へ我はスカスカと小太刀を下げて間境を越す、相手抜き打ちに出足を払って来るので出足を引いてこれを外す。相手は手を返して、進んで我が左方より切り替えして来る、これを踏み込んで小太刀で請け留め、中に入って刺す。

 間境に右足で踏み越える処、相手その右足に抜き付けて来る、我は右足を引いてこれを外す。
 相手抜き払って外されたので手を返し、左足を右足に引き付け右足を踏み込んで我が左足に切り返して来る。
 我は左足に小太刀を接する様にしてこれを請け留め、我れ右足を踏み込んで相手に付け入って刺突する。形にはなりますが、すさまじい技です。

 政岡先生は、打の動作は奥居合「霞」の動作である。相手のぬき付けを引き外し、返す刀を受け留め、跳ね上げて飛び込んでさす。
 相手の太刀を我が小太刀で受け止め、跳ね上げる、とされています。

 

 

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2017年4月 1日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取2水石

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
2)二本目水石
水石
 如前く待処へ小太刀をさけかくる時相手深く懸って抜付るを小太刀を持ちたるなり尓て止入りてさ春
読み
水石(みずいし・すいせき)
 前の如く待つ処へ 小太刀をさげかくる時 相手深く懸かって抜き付けるを 小太刀を持ちたるなりにて止め 入りて刺す
読み解く
 相手居合膝に座す処、我は小太刀を下げてスカスカと間境を越して行く。相手、我が胴に抜き付けて来るを、踏み込んで小太刀にて請け止めるや、身を低め相手の懐に入り、左手で相手の右肘を制し刺す。
 小太刀で抜き付けられた太刀を請けるには、腰を入れてしっかり刃で請ける、小太刀を体から離して及び腰になればはねられてしまいます。右足に添えるように踏み込んで請ける事も課題です。

 間境にスカスカと入るは、左足で踏み込み相手の打ち気を誘う様にして、抜き付けて来るや右足を踏み込み小太刀で相手の刀を請け止め、左膝を右足踵に引き付け体を下げ、右足を踏み込み相手の中に付け入って、左手で相手の右肘或は右手首を、下に押し付けて制する。
 又は、相手が、請け止められて、即座に上段に振り被るを機に相手の右肘を我が左手で押上げ小太刀で刺突する。

 政岡先生は、相手が抜き付けて来るのを抜請けに留め、小太刀で相手の太刀をはね上げ飛び込んで刺します。

 

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2017年3月30日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取1無剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
1)一本目無剣
大剣取 (此太刀打ハ和之伝二有也)
無剣
 相手居合膝二坐し居処へ小太刀をさげかくる相手抜打つを放し入てさ春
読み
大剣取(だいけんとり) (此の太刀打は和(やわら)の位の伝に有るなり)
無剣
 相手居合膝に坐し居る処へ 小太刀をさげかくる 相手抜き打つを放し入りて刺す
読み解く
 神傳流秘書に記載されている太刀打は、太刀打之事10本・詰合10本・大小詰8本・大小立詰7本・大剣取10本合計45本あります。
 更に安永五年1776年に第12代林益之丞政誠による英信流目録に小太刀之位六本が記載されています。これを加えると51本が太刀打となります。
 小太刀之位は神傳流秘書には無い太刀打ですが、間と間合いを覚えるには良い業です。

 大剣取は「此の太刀打は和之伝に有也」ですが之は、神傳流秘書の和は夏原流の和です。「和」は「やわらぎ」と読むようです
 夏原流に有る小具足・小具足割に小太刀(短刀)による仕組が有りますからその辺を言うのかも知れません。小具足とは素手による格闘技では無く短刀を用いた格闘技を一般的に云うものです。
 しかし、夏原流和之事には大剣取らしき太刀打は見当たりません。

 大剣取は神傳流秘書のみに記載されているもので、今までの様に曽田先生による五藤先生の業附口伝は存在しません。従って古伝の文章の不充分な抜けた部分を補うものは居合から類推するばかりです。


 相手居合膝に坐している処へ、我は小太刀を右手に下げ、スカスカと間境を越して行く。
 相手抜き打ちに我が出足に抜きつけて来る、出足を引くと同時に小太刀を下げた右手を上げ、抜打ちを「放し」は、外して透かさず、右足を稍々右に踏込み、相手の中に入り左手で相手の右腕を制し、刺す。

 「・・小太刀をさげかくる・・」ですから、此処は小太刀の切先を下に向け右足の前辺りに下げた無形之位で、相手の座す処にあゆみ行く、相手は間境を越した我が出足を払って来るでも、腰を払って来るでもいいでしょう。
 相手は外されて即座に上段に振り被るか、手を返して霞の様に打ち返すかも知れません。

 居合膝はどのようにするのか不明ですが、現在の立膝の座仕方と思えば良いのでしょう。 但し、夏原流の小具足の処に「両方足を爪立左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に坐す」とあります。居合膝でも腰を浮かし両足爪先立っている様です。

 現存するテキストでは、政岡先生の昭和49年1974年発行の「無双直伝英信流居合兵法地之巻」に有ります。この出典は何処からのものか不明です。
 私は河野百錬先生のものを使用したのではないかと思っています。多少文言に違いがあるところも有るので確証は有りません。

 河野百錬先生の昭和29年1955年発行の「無双直伝英信流居合兵法双書」に大剣取の項目は有りますが、これは曽田本の神伝流秘書を丸写ししたもので、解説もありません。

 細川家から拝借したものを公開された木村栄寿先生の昭和57年1982年発行の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流」では「大剣取」は「居合兵法極意之書」として文政12年1829年山川幸雅より坪内清助に授与され、坪内長順の秘書とされる中に「和大剱捕軍馬組附」(やわらぎだいけんどりぐんばくみつけ)と題して記載されています。(P139~140)
 無剱~雷電まで9本で神傳流秘書にある、10本目水月が欠如しています。文言には違いがありますが、概ね同じ手附と判断いたします。
 細川家より拝借したという、木村栄寿本と曽田本の対比により、よりわかりやすいものをと思いましたが「転載・複製を禁ず」との事ですから、当該書籍をお求めの上御確認下さい。

 古伝武術は素晴らしい、世界に誇る日本の伝統文化です。自由に研究させていただければと思いますが、割愛させていただきます。

 政岡先生は「小太刀をさげてかゝる・・」二本目は「持ちたるなりに・・」となっているので、抜刀して正眼とも考えられるが、居合の形として考えて納刀のまゝとしたものである。抜刀して左手を腰に、中段「入身の構」でも可ならん。
「間に入った時払われたので引いて外す、飛び込んでさす」

 政岡先生は、相手が抜き打ちを外され即座に上段に振り被る処、我は踏み込んで左手で相手の右肘を制しています。


 古伝では、ここは「小太刀をさげかくる」ですから、小太刀を抜刀して右手にひっさげて無形の位で間境を越す、此の方が古流の伝らしく、あえて居合の納刀に拘るものでもなさそうです。

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