曽田本その1の1神傳流秘書を読み終えて

2017年10月12日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み終えて

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み終えて
 曽田本その1の1神傳流秘書を原文と読み解くとに分けて書き終えました。
 平成28年(2016年)10月1日から平成29年(2017年)10月12日まで377日を要しました。原文と読み解くに分けなければ概ね188日であったろうと思います。
 
 原文は、曽田虎彦先生が書き写した文字をそのまま転記し、その読みを現代漢字及び仮名遣いに直して現代の国語レベルでも内容が判読できるようにしたつもりです。
 
 日本の古文書を容易に読み取れるだけの力はありませんが、漢字書道を久しく学んでいるおかげで、何とか曽田虎彦先生の癖字になれ読み取り、習い覚えた無双直伝英信流の業技法を重ね合わせ、更に加えて河野百錬先生や木村栄寿先生の文献と照らして判読したものです。
 大家の解釈をそのまま鵜呑みにする程の信頼感も、いたずらに媚びる無責任さも無い天邪鬼です。
 古伝の文章と睨めっこしながら、時には他流や他の武術に教えを乞いつつ読み解いてきました。
 
 三度にわたる古文書解読で、ほぼ読み取れたと思います。このまま原文だけをコピーして古伝を演じられる先生も居られると思います。又、何れの時代かに古伝を全て復元される名人も現れる事を期して原文のみを掲げておきました。
 
 読み解くの内容は、原文及び読みに続き、業を演じられるところまで掘り下げておきました。 
 但し、無双直伝英信流居合や古流剣術、棒術、体術、柔術のかなりの見識が無ければ演じられないかもしれません。
 乏しい経験を頼りに神傳流秘書の全業を読み解くにあたり、多くの方のお知恵を拝借しましたが、なかでも「痛くしないで」と言いながら私に逆手を取られたり、肘を堅められたり、仰向けにされたり俯けにされたりした家内の功績は大きいものです。
 
 かつては、総合武術として広く学ばれた方も多かったろうと思いますが、明治期に部門ごとの分離が極端になって、総合武術の見識を持たれる方は少ないと思われます。
 その表われは、棒術や和になるとアクセスが減るように見えますし、同門の方に尋ねても意を汲んでいただけないことも度々です。
 師匠の真似事以外に知恵を絞っていただける方も少ないものでした。「古伝なんかに興味は無い」と言いながら「昔はこうだった」という嘘つきに頻繁に出合ました。
 
 日本語の幾つかやその武術用語が日常から失われて久しく、当代の無双直伝英信流の教本すら読めなくなってきている時代です。
 他流の教本も意味の無い門外不出の言葉に捉われ公に読めません。或はそのこだわりが無くとも教本として世に問うだけのエネルギーがない流派の代表者。
 お陰様で武術の流派の教本はお粗末です。
 当代は良く聞き、よく見て、よく読み、自分で考えろと仰いますが、情けないほど低下している国語力では良く見て真似るだけの、武的演舞だけをそれとする剣士しか生み出せないのかもしれない時代でもあります。
 
 読み解くに当たり、この解説も現代居合を基にしているばかりで、古伝には至っていないとのご批判を述べられている方も居られます。
 其の通りでしょう、一刀流や一部津軽方面に林崎流居合の伝承があるとはいえ、それも一部の想定における動作であり、大太刀を帯しての物であれば、其処から江戸中期の神傳流秘書に進化させて解するのも無理があります。
 武術は、始祖の業技法から日進月歩していかなければ、より研究された者に打ち負かされてしまうものです。
 その上「かたち」を学び、基本の動作から得られた術をもって、あらゆる場面を思い描き稽古しなければ実用になりません。
 神傳流秘書は江戸中期の林崎重信流から進化した英信流から始まっています。平成29年の今日の我が修行のレベルから250年遡るのが精一杯です。
 
 現代の無双直伝英信流、夢想神傳流は、明治以降、多くの先師の努力で最も良く研究されていると考えられます。多くの教本を集めて読みふけって見ました。
 しかし竹刀剣道に蹂躙されていたり、見覚えただけの先師の動作を癖だらけの己の写真や動画で示すばかりの物が多く、ひどいのは先師の教本の丸写しです。
 江戸中期初頭の参考になり難いものばかりです。
 特に近年のものは昭和初期の物より劣る様な気がします。中には師伝の道統では切れてしまった奥の業を、他の師伝を引用した、おかしいものまであります。
 昨今は、師匠を真似るのがやっとの稽古量であったり、真似の上手下手のみを競う大会などにとどまっていて、武術に至らないのが現状でしょう。
 本物の師を求める事は何時の時代でも、どの道でも困難だったでしょう。選択肢は、誰が師として相応しいかよりも、住まいに近く、稽古日に都合が良い、程度の選択肢から安易に選択されています。
 人と相対しての実践行為などの武術論を口にする知ったかぶりの先生も居りますが、総じて不勉強です。段位などはそれだけの意味をなして居ません。
 
 古伝の動作は形だけ真似てもその奥義に至る事は出来そうにもありません。形の中にあるものを読み取り、それを自らの稽古の中から悟る以外にないのでしょう。
 古伝を知る上で足を踏み込んだ柳生新陰流の業を学ぶ時に、多くの気付きがありました。
 それは、「古武術は「かたち」を真似る事は出来ても術にならない」事に気付かされたことです。
 
 棒振りを何十年やっていても、如何にも早く・強くも討ちこめて、棒振り試合に勝てても「術」が決まらないのです。
 同様に一人演武の居合も、順序正しくただ力強いばかりか、ゆっくり・大きく・正確に・華麗に演じて、演武競技会で評価されても武術にはなり得ないのです。それは真剣での命のやり取りでの事とは違うからでしょう。
 
 奥義に至るには、真似ただけの「かたち」では、「とてもとても」です。本物は形の中に、その「心」も無ければならないのでしょう。
 
 おおらかな気持ちで、神傳流秘書に向かい、文字に書かれていない処を思い描き、今ある自分の力量を越えるにはと、自らを照らしてみることも良いのではないかと思っています。  
 ・・・・思いつくままに・・・
 
 古伝神傳流秘書を基に「無双神傳英信流居合兵法」の研究会を2017年9月に立ち上げました。
 曽田虎彦先生の直筆本を原文のまま読み、互に持てるものを以って読み解いて演じる研究会です。
 研究会の名称:湘南居合道研修会鎌倉道場
 場所      :鎌倉体育館
 日時      :毎月第二木曜・第四木曜
           10月26日(木)13:00~17:00
           11月09日(木)13:00~17:00
           12月14日(木)15:00~17:00
 参加希望   :このブログを読まれ研究したい方
 
 
 
 
 

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